やる夫で学ぶホメオパシー2
原子・分子の概念が確立し普及する以前のハーネマンの時代はいざ知らず、20世紀においてはホメオパシーに効果がないことは科学的にはもはや自明のこととなっていた。
/ ̄ ̄\ / _ノ \ ホメオパシーに効果なんてあるわけないだろ、 | ( ー)(ー) 20世紀的に考えて。 . | (__人__) | ` ⌒´ノ . | nl^l^l . ヽ | ノ ヽ ヽ く / ヽ \
が、しかし、ある事件がきっかけでホメオパシーは科学の最前線に引きずり出された。
─────時に、西暦1988年 ロンドン ネイチャー編集部 /:::::::::::::::::::::::::::::::\ /:::. :::::::::::::::::::::::::::::: ..::i j::::::::::::::::::::: : ::i....:::::::::::| かまわん、 }::::::/以/|;i:/Yゞト::::::j 掲載しろ。 fヾ',,, __'iir'___ ,,レ〈 \i`{:!;:゙-丐{ヾ::'j/レ'、 _,/::;ミ///7,.、 ̄'fミj::::\ -::''´:::::::::|/ / / /-/j/ミ/::::::::::::`:-.、_ ::::::::::::::::::::/ ' / ///;:'゙/:::::::::::::::::::::::::::` :::::::::::::::::::fi i ´ /''" ヽ::::::::::::::::::::::::::: ネイチャー誌 編集長 ジョン・マドックス(1925年 - 2009年 イギリス)
一流の科学論文の掲載のみが許される科学雑誌ネイチャーに信じられない論文が掲載決定されたのだ。
パリ フランス国立保健医学研究所INSERM * ______ / ̄| + / ヽ + 論文がネイチャーに掲載されたお | ::| /⌒ ⌒ \ r‐-、r‐-、r‐-、r‐-、 | ::|x / ( ●) ( ●) | 人 . ┌─────┤ || || ||_..._|‐ . ,; \ | ::::::⌒(__人__)⌒::::: | Y´ ..| Nature 333|_...._|| ||_...._|ヽ_,ノ. | ___) ::| .! l/ニニ| / . | ヽ_,.ノ|.-‐.|ヽ_,ノ | ___) ::|+ヽ `ー‐' / 十| Human basophile`ー' ー‐─── | ___) ::| .> \ / | triggered by ver : ヽ__)_/ / \/ ..| ntiserum against IgE :. ──── / | : | ,| ────────‐ :. ──── ____ / \ 自己紹介が遅れたお。 / ─ ─\ 免疫学者のベンヴェニストだお / (●) (●) \ みんなからは やるヴェニストと呼ばれてるお | (__人__) | \ ` ⌒´ / ,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノ゙-、. : | '; \_____ ノ.| ヽ i | \/゙(__)\,| i | > ヽ. ハ | || ジャック・ベンヴェニスト(1935年 - 2004年 フランス)
論文の著者はフランスの国立保健医学研究所INSERMの免疫学者ジャック・ベンヴェニストだった。内容は1分子も含まれないほどに希釈された抗体が、白血球の一種である好塩基球が起こす脱顆粒という変化を促進したというものだった。これは化学の常識と真っ向から衝突し、ホメオパシーを支持する実験結果である。
____ , ヘー‐- 、 /ヽ / \ 確かに希釈を繰り返す過程で原物質は -‐ノ .ヘー‐-ィ /(●.) (● )ヽ 1分子も含まれなくなるお ''"//ヽー、 ノ ./:::⌒(__人__)⌒::::::ヽ でも、その過程で水が原物質の情報を記憶し //^\ ヾ-、.| |r┬-| | それを維持している可能性があるんだお ,ノ ヽ,_ ヽノヽ_)\ `ー'´ / やるヴェニストの実験はその仮説を支持するんだお / <^_,.イ `r‐'゙ ::::ヽー‐-..、 ,..-‐|、 \___,/| ! ::::::l、:.:.:.:.:.ヽ /:.:.:.:.| \
希釈によって分子が1個も含まれなくなるはずだという化学的な観点からの反論に対して、段階的な希釈の過程で物質の情報が水に記憶されるために、もはや分子が含まれないほどに希釈された水溶液であっても生理活性を示すとベンヴェニストは考えた。
しかし、物理学者でもあったマドックスがこの論文をただ無批判に扱うはずもなかった。
/:::::::::::::::::::::::::::::::\ /:::. :::::::::::::::::::::::::::::: ..::i j::::::::::::::::::::: : ::i....:::::::::::| かまわん、 }::::::/以/|;i:/Yゞト::::::j 掲載しろ。 fヾ',,, __'iir'___ ,,レ〈 \i`{:!;:゙-丐{ヾ::'j/レ' ただし、 _,/::;ミ///7,.、 ̄'fミj::::\ -::''´:::::::::|/ / / /-/j/ミ/::::::::::::`:-.、_ ::::::::::::::::::::/ ' / ///;:'゙/:::::::::::::::::::::::::::` :::::::::::::::::::fi i ´ /''" ヽ::::::::::::::::::::::::::: ´i;;;;;;;;;;;;;;;;;!´<ア ´ ¨ ` rソ /, / `丶_ |;;;;;;;;;;;;!、.< > |/i;;;;;;;;;;;;;| r==( )/⌒ヽ( )彳 |;;;;;;;;;;;i < > |,;;;;;;;;;;;| !i 丶. _ _ . / | |: :丶_ _ . / !i !;;;;;;;;;l < > |;;;;;;;V/ '' '' ,. ´, . . .;' 、: : : '' '' : : : : : : : ::ii/;;;;;;/v < > ヾ;;;;;;;ヽ /( : : : : : : ::)、: : : : . : : : : : : : :/;;;;;;;/ < > ヾ;;;;;ヘヽ /::' ゝ´`: :´: ´ '\: : : : : : : : : : ∧;;;;;/ .< 調 > /ー《;i \ /: : .' _ _ _: : : : :ヽ: : : : : : : : //;;=ヘ < 査 > i /::::''ヘ;i ヽ : :: /_,. -ー- .,_\: : : : : : : : : :://;;r'て | < チ > ! ::' ;:::ヘi ::' /^~ ~^\: : : : : : : : /;;/)ヽ | < | > ヽ :::: ヽi ' | _ _ |: :: : : : : : /;;/:: :::: : :| < ム > ヽ i;;;;i ! |/´ `ー ´ `ヽ!: | : : : :/;;/::~::: :/ < 出 > ''ー y;;;i ゝヽ-ー ´ ̄`ー- ソ;;ノ : : : /;;/_/ < 動 > i;;;;;i =?ー=: : : : : : : : :/;;;/ < !! > |;;;;;;i : : : : : :: : : /;;;/ < > ゝ;;;;;;\ /⌒\ : : : : : /;;;;;;/ < > |ヘ;;;;;;;; ̄\__/;;;;;;;;;;;;;;;;; ーー´;;;;;;;;;イ < >
マドックスは調査チームをベンヴェニストの研究室に送り込むという極めて異例の条件で掲載を許可したのだった。
送り込まれた調査チームは、マドックス自身と化学者で不正調査の専門家のウォルター・スチュワート、
__, , ,,-- --、_ ハ , -' ´::::::::::::::::::::::::::::::`'‐、 /::::::ヽ _______ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`y:::::::/ r'ニ二----、ン::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ン _/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::< / :::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} / :::;イ/:::::::::::;イゝ;::::ヽ、:::r、_::ヽ、,ハ、ィヽr、::::::::::::::::::i l ://///:::::/i:l:ハ`ヽ::::ヽヽ、ヽ__>==--ヽ、i::::::::::::l l::{ {{ {:ト;:::::lr'リr、_L__ヽ、_ヽ_f´ ;rr''´j`t-、 }ミ:r‐‐ゝ レ' リ リ ヽ::f´"「{``トト、 }`‐{ ッ'゙{ ゝ辷ソ ノ レ'/こi`} t-iヽ{ ゞ;;;ソ l ̄ゝ, ー‐ '´ ノ (_,ノ ノ ヽゝ、`ー'"、_ `ー ---‐'´r'´ _,/ `弋‐‐'´ _,-‐‐‐-、 /⌒゙i弋;ゝ ウォルター・スチュワート、 ヽ、 ヽ, ノ f !____ 科学研究の不正調査の専門家さ `ニ=、_____,,∠_{ }___:::ヾヽ ゙、:::::::r:::r'´::::::「` ノ/ `、__::゙ヽ r‐'´}:::::::ト-ヘ;;;;;;;;;ト 、_/ `}::{ ノi:/`フ´ _ン‐‐‐く / / ゙‐} ,イ:<_::;ィ/ r'´ 〈 ,ィ' / ./ f::::r‐'´〈 廴_,,,-‐''ー‐‐辷、_,ィ'´ _,ノ /:::::/ヽ、::::V/::/::::::::::::::::::::::` ´`フ
そしてマジシャンのジェイムス・ランディー、
,. ?? 、 ∠ 三三二 Y ヽ 私、こう見えても超能力・超常現象の類には /.// ⌒¨  ̄`ヽ川 厳しいのよね。 {.//r ニ、 rニ 、l l.} l YV 二ヽ r 二`Y } V ゝ,__ノ ^ゝ,__ノ| l | r',,,,^‐^,,,,ヽ レ > ゝニニフ ノ _..-‐/ | \__,.__/l\_ ''" ̄ / イ、_/^> / l "''‐- .._ | / | 〉<\/ | 7、 ジェームス・ランディー(1928年 - カナダ・アメリカ)
こう見えてもランディーはユリ・ゲラーをはじめとする数々の自称超能力者のトリックを暴いたことでも知られる人物である。http://www.nazotoki.com/skeptic.html#randi
ノ L____ ⌒ \ / \ 医学・生物学の専門家が一人もいないお / (○) (○)\ 素人集団を送り込むとかなめてんのかお! / (__人__) \ | |::::::| | \ l;;;;;;l /l!| ! / `ー' \ |i / ヽ !l ヽi ( 丶- 、 しE |そ ドンッ!! `ー、_ノ �堯�l、E ノ < レY^V^ヽl 、 ,. -─- 、 ∠ \/ \ あ〜れれ〜  ̄7 ヽ . i `⌒ヽ. やるヴェニストのおじさんのところの研究員のお給料は │ __, ,.ィ , 、 ヽ 研究所とホメオパシー関連会社との取り決めによって v‐ 、 ,ィ(∠__,ィ'ノ} /リ_ ト、 i } 支払われているんだねぇ { ,ゝ V`''v'¬ぅァ∠ィtチ;j/l } ル' _,ゝ.て、 | ` ̄ _ノ ヾニ _ノ jノ `,>‐、 ` ̄ _''"/ . , < `i. l` l^L -‐っく / ヽ L__「ソ ′ ア_」lヽ ___ / \ キリッ / \ , , /\ 何の問題があるんだお / (●) (●) \ 製薬会社から資金提供を受けて | (__人__) | 行われた研究だっていっぱいあるけど、 \ ` ⌒ ´ ,/ だれも文句言わないお! . /⌒〜" ̄, ̄ ̄〆⌒,ニつ | ,___゙___、rヾイソ⊃ | `l ̄ . | おじさん | /:::::::::::::::::::::::::::::::\ /:::. :::::::::::::::::::::::::::::: ..::i j::::::::::::::::::::: : ::i....:::::::::::| }::::::/以/|;i:/Yゞト::::::j 実験にあたって fヾ',,, __'iir'___ ,,レ〈 標本誤差は十分に考慮したか? \i`{:!;:゙-丐{ヾ::'j/レ'、 _,/::;ミ///7,.、 ̄'fミj::::\ -::''´:::::::::|/ / / /-/j/ミ/::::::::::::`:-.、_ ::::::::::::::::::::/ ' / ///;:'゙/:::::::::::::::::::::::::::` :::::::::::::::::::fi i ´ /''" ヽ::::::::::::::::::::::::::: _____ ━┓ / ―; \ ┏┛ /ノ ( ●) \ ・ . | ( ●) ⌒) | . | (__ノ ̄ / . | / \_ _ノ\ /´ | . | / |
調査チームはベンヴェニストたちが標本誤差の概念を理解していなかったことに驚かされたと述べている。調査チームは袋から色のついたボールをランダムに取り出し、標本誤差について説明したが、ベンヴェニストはそれを"Theoratical objections"(理論上の反論、机上の空論)だと述べた。
いくつかの予備的実験が行われた後、ベンヴェニストの提案によってより厳密なブラインド・テスト(盲検定)が実施された。
,. ?? 、 ∠ 三三二 Y ヽ ただし、手品でイカサマしたと思われると困るから、 /.// ⌒¨  ̄`ヽ川 僕は実験中は記録用のビデオをまわす係なんだよね {.//r ニ、 rニ 、l l.} l YV 二ヽ r 二`Y } V ゝ,__ノ ^ゝ,__ノ| l | r',,,,^‐^,,,,ヽ レ > ゝニニフ ノ _..-‐/ | \__,.__/l\_ ''" ̄ / イ、_/^> / l "''‐- .._ | / | 〉<\/ | 7、
希釈された抗体溶液は、調査チームによってランダムな番号が振られた試験管に入れられた。それぞれの番号がどの希釈率のサンプルを意味するのかは秘密にされ、その情報が記された書類は透かしても見えないようにアルミホイルに包んだ状態で封筒に入れて、誰も触れられないように研究室の天井に貼り付けられた。さらに、正確さを確保し標本誤差の問題が"Theoratical objections"などではないことを示すために、細胞のカウントは2人の研究員によって別々に2回行われた。
最後に封筒を開封してそれぞれの番号が照合され、実験結果が整理された。ベンヴェニストが論文で報告したような、高度に希釈された溶液の生理活性は観察されなかった。つまり、ベンヴェニストの実験はバイアスを排除したより厳密な条件では再現できなかったということであり、調査チームは"'High dilution' experiment a delusion"(「『高度希釈』実験は幻だった」)と題した調査報告をネイチャー誌に掲載した。
____ /::::::::: u\ やるヴェニストたちの5年がかりの研究が、 /ノ└ \,三_ノ\ ,∩__ たった1セットの実験だけで判断されたら困るお。 /:::::⌒( ●)三(●)\ fつuu それにスチュワートはキィキィーうるさかったんだお。 |::::::::::::::::⌒(__人__)⌒ | | | ランディが実験中に手品を披露するから \::::::::: ` ⌒´ ,/_ | | 実験助手が集中できなかったんだお。 ヽ i 丿 /(⌒) / ̄ ̄´ / / /
表現の違いはあるだろうが、これらの不平不満はネイチャー誌に掲載された調査後のベンヴェニストのコメントに基づくものであり創作ではない。
ノ L____ ⌒ \ / \ / (○) (○)\ これは科学に対する魔女狩り、赤狩りなんだおっ / (__人__) \ もう二度とこんな連中を研究室に入れたりしないお | |::::::| | \ l;;;;;;l /l!| ! / `ー' \ |i / ヽ !l ヽi ( 丶- 、 しE |そ ドンッ!! `ー、_ノ �堯�l、E ノ < レY^V^ヽl
これもベンヴェニストが実際にネイチャー誌面で展開した主張である。
1991年には、1988年にネイチャー誌に掲載された研究により、ベンヴェニストは栄えある第1回イグノーベル化学賞を受賞する。イグノーベル賞とは、ノーベル賞のパロディであり、世界のおバカな笑える*1研究に与えられる賞である。
____ <クスクス. / \!?? / u ノ \ おかしいお / u (●) \ 世紀の大発見でノーベル賞を受賞するはずが、 | (__人__)| 笑いものにされてるお \ u .` ⌒/ ノ \ /´ ヽ
ちなみにホメオパシージャパン株式会社のウェブサイトではベンヴェニストは本家のノーベル賞の候補だったとされている。
一時はノーベル賞候補に上げられながらも、結局は、科学界から完全に無視され、資金援助もなくなり、遂に日の目を見ることなく亡くなられてしまったことは、とても残念に思います。
(引用元: http://www.homoeopathy.co.jp/introduction/world_T20041031.html)
ノーベル賞の選考過程は非公開であり、選考過程についての出所のはっきりした情報源は存在しないはずだ。したがって、あるのは根拠の疑わしい噂だけである。
1993年にはロンドン大学ユニバーシティカレッジの研究グループが、ベンヴェニストの論文に基づいて再現実験を試みるが、やはりベンヴェニストが主張するような高度に希釈された溶液の効果は検出されなかった。
__ .-´ ``ヽ / ヽー `ヽ / ノ (O )ノ ̄ ̄`ヽ、―;ニ / (●) __)⌒/ ´`ヽ _ 三,:三ー三,: | ::⌒(__ノ/ ノヽ--/ ̄ , ` ` ̄ ̄ ̄ 。ヽ 。 )( }. ...| /! ヽo (__ン }、ー‐し'ゝL _ 人 ー jr--‐‐'´} ;ーー------ / ヾ---‐'ーr‐'"==
しかし、べンヴェニストは懲りることなく、DigiBio社という会社を設立し、"研究"を続行した。
_______ :/ ̄| : : ./ / # ;,; ヽ :. | ::| /⌒ ;;# ,;.;::⌒ : ::::\ : | ::|: / -==、 ' ( ●) ..:::::| やるヴェニストは間違ってないんだお ,―; \ | ::::::⌒(__人__)⌒ :::::.::::| : 魔女狩りには屈しないお | ___) ::|: ! #;;:.. l/ニニ| .::::::/ | ___) ::| ヽ.;;;//;;.;`ー‐'ォ ..;;#:::/ | ___) ::| .>;;;;::.. ..;,.;-\ ヽ__)_/ : / \ ハァハァ....
そして、1998年には2度目のイグノーベル賞を受賞することとなる。なお現在にいたるまで複数回イグノーベル賞を受賞した人物はベンヴェニスト以外には存在しない。
___ / \ /ノ \ u. \ !? / (●) (●) \ またしてもイグノーベルの方を | (__人__) u. | クスクス> 受賞してしまったお \ u.` ⌒´ / ノ \ /´ ヽ
受賞理由は「水が情報を記録するだけではなくて、その情報を電話線やインターネットで送信することができるというホメオパシー的発見」である。
反証が目的であったにせよ、マドックスがベンヴェニストの論文の掲載を認めたことに対しては反発があった。オランダ癌研究所のRonald H.A. Plasterkは、論文の主張はいずれアーティファクト(つまり人為的な原因による勘違い)だと判明するだろうが、一流誌にホメオパシーの論文が掲載されたという認識が世界に広まってしまったこと自体がすでに有害であり、論文が撤回されたとしても、そのことは論文ほどは大きく報道されないだろうと指摘した。
彼の予想通り論文は反証されたが、ベンヴェニストは論文を撤回しなかった。さらに悪いことに、ホメオパシー業者は真実を発表して迫害された"ガリレオ"としてベンヴェニストを扱い、一種の陰謀論の出汁にしている。
ベンベニスト博士がこれほどまでに攻撃された理由の中に、彼の論文が、ホメオパシーの科学的根拠となることへの多大な恐れがあったことは想像に難くありません。
(引用元: http://www.homoeopathy.co.jp/introduction/world_T20041031.html)
参考文献
- 発端になったベンヴェニストらによる論文 E. Davenas, et al. , Nature 333, 816 (1988).
- 論文の掲載に関して寄せられたコメント(Ronald H.A. Plasterkのものを含む) Nature 334, 285 (1988).
- 調査チームの報告 J. Maddox, J. Randi, W. W. Stewart, Nature 334, 287 (1988).
- 調査後のベンヴェニストの弁明 J. Benveniste, Nature 334, 291 (1988).
- ユニバーシティカレッジのグループによる追試 S. J. Hirst, N. A. Hayes, J. Burridge, F. L. Pearce, J. C. Foreman, Nature 366, 525 (1993).
- 日本語による事件の解説 「水の記憶」事件 - Skeptic's Wiki
- BBCの特集番組のサイト: http://www.bbc.co.uk/science/horizon/2002/homeopathy.shtml
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