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科学とニセ科学について書くブログ

面接官「特技はホメオパシーとありますが?」

面接官「特技はホメオパシーとありますが?」
学生 「はい。ホメオパシーです。」
面接官「ホメオパシーとは何のことですか?」
学生 「自然療法です。レメディーで自然治癒力を高めます」
面接官「え、レメディー?」
学生 「はい。レメディーです。砂糖粒に水の記憶を転写します。」
面接官「・・・で、そのホメオパシーは当社において働くうえで何のメリットがあるとお考えですか?」
学生 「はい。危険な西洋医学から守れます。」
面接官「いや、当社には瀉血*1をやるような輩はいません。それに医者でもないのに病気の人を治療するのは犯罪ですよね。」
学生 「でも、それは医師会と製薬会社の陰謀ですよ。」
面接官「いや、陰謀とかそういう問題じゃなくてですね・・・」
学生 「インナーチャイルド*2が叫んでいるんですよ。」
面接官「ふざけないでください。それにインナーチャイルドって何ですか。だいたい・・・」
学生 「インナーチャイルドです。インチャ*3とも言います。インチャというのは・・・」
面接官「聞いてません。帰って下さい。」
学生 「あれあれ?怒らせていいんですか?使いますよ。ホメオパシー。」
面接官「いいですよ。使って下さい。ホメオパシーとやらを。それで満足したら帰って下さい。」
学生 「それでしたら、まずこちらの同意書にサインして、とらのこ会にご入会下さい。」
面接官「帰れよ。」


以上の内容は有名コピペのパロディであり、上記の面接官と学生の掛け合いは基本的にフィクションである。しかし、断片的な現実が織りまぜられている。

ホメジャ系ホメオパスがホメオパシーユーザーに記入を求めている同意書、その内容は?

ホメオパシージャパン系ホメオパス*4の秋山佳胤氏のウェブサイトにはホメオパシーを受けるための同意書がアップされている。その同意書や同じPDFファイルに含まれているホメオパシー健康相談会の案内を読むと、ひしひしと医師法薬事法違反逃れの意図が伝わってくる。しかし、私が特に卑怯に感じたのは、ホメオパスの責任回避とユーザーへの責任転嫁のための巧妙な文言の数々だ。

同意書

3.ホメオパシー療法中に自然治癒力が活性化し、一時期、症状が悪化したように見えることがあります(好転反応)。これは体内の老廃物が排出されている姿であり、時には、症状が強く出る場合や長引く場合もあることを理解します。必要を感じた場合は、自分の判断で、他の療法や検査を行います。

5.本人もしくは家族が、医師などの有資格の専門家に相談することが必要であると判断したときは、それを実行することを約束します。

6.医師から出された薬に関して、また今後薬をとることに関しても、本人もしくは家族が判断し、責任をもつこととします。

(引用元: http://www.lotus-office.net/homoeopathy/soudan.pdf 強調は引用者による。)


つまり、"悪くなったら自分で判断して医者に行け"、あるいは"きちんと医者に行かなかったがために病気が悪化しても患者のせい"ということだ。私にはそうとしか読めない。こういう無責任な態度をとる一方で、現代医療・西洋医学は有害だとホメオパシー団体はネガキャンをやっている。うっかりそれを信じ込んでしまったホメオパシーユーザーは自然と通常医療を避けることになるだろうが、その結果がどんなに悲惨なものでも、ホメオパスには及ばないようになっているというわけだ。

現に、あかつき問題においてのホメオパシー医学協会と話し合いでは、ホメオパスたちは同意書の内容から危惧される通りの無責任な態度を取っていたようだ。

また、意外なことに、Aさんがあれほど強調していた「症状は好転反応である」ということについて、「どこまでが『好転反応』だったとみているのか」という問いに対して、ホメオパスも、また記録を読んだ理事長さんも、「わたしたちにはわからない。なんともいえない」ということでした。ホメオパスが言ったことではなく、Aさんが自分でそう判断していた、ということになるそうです。

つまり、Aさんがすべてひとりよがりに「好転反応」だと思い込んでいたにすぎないということでしょうか! Aさんはこれを聞いたらどう思うのでしょうね。大変残念です。

注記:Aさんが亡くなって1週間後にホメオパスに初めて会った際には、Aさんの様々なひどい症状をどう思っていたのかと聞いたところ、彼女は確かに「治療師的直感として、好転反応だと思っていた」と言っていました。録音していなかったのですが、メモはとっております。

(引用元: http://megumiboxy.exblog.jp/11888466/ 強調は引用者による。)


まさに"悪くなったら自分で判断して医者に行け"、あるいは"きちんと医者に行かなかったがために病気が悪化しても患者のせい"という同意書の無責任をそのまま体現した態度だ。



挙句の果てにこんな露骨な文言で、問題の発覚を抑えこもうとしている。

8.健康相談が担当ホメオパスと信頼関係のもと継続して良好に行われるために、不用意にその内容を公表しないことを約束します。

(引用元: http://www.lotus-office.net/homoeopathy/soudan.pdf 強調は引用者による。)


正直言って、こんな理不尽な同意書が法的に有効かどうかは私には分からない。しかし、すでにこの同意書にサインしてしまっているホメオパシーユーザーは、被害を訴え出ることに相当な心理的な抵抗を感じることだろう。


なお、この同意書、あるいはこれと類似の同意書をユーザーに書かせているのは何も秋山氏に限ったことではないかもしれないが、私は秋山佳胤氏のクライアントになっているユーザーが同意書によって受ける心理的束縛は特別のものがあるのではないかと推測する。それは秋山氏が弁護士だからだ。弁護士にこのような同意書を書かされた人の中に、"治療"に疑問を感じた場合に第三者に相談できる人・被害を受けた場合に公的機関にそれを訴え出ることができるほどの勇気がある人がどれだけいるだろうか?

*1:19世紀ごろまで盛んに行われていた、流血による治療。ホメオパシーが19世紀に一定の評価を得た理由の一つは当時の"現代医療"が瀉血のように無益かつ有害なものだったことによる。[http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20100214/1266167562:title=やる夫で学ぶホメオパシー1]

*2:胎児のことではない。"心の中にあるトラウマなどの記憶"というような意味で使われることが多い。日本ホメオパシー医学協会会長の由井寅子氏の著書『インナーチャイルドが叫んでる!』の紹介には「本書を読めば、愛されず傷ついたインナーチャイルドが、ありとあらゆる問題の原因であることがわかります。」とある。誰だって幼少時代の嫌な思い出の一つや二つはあるので、それが原因だと言われるともっともらしく感じてしまうのだろう。 http://www.homoeopathy.co.jp/press/pdf/love_incya.pdf

*3:実際、ホメオパシージャパン・日本ホメオパシー医学協会関係者の間では"インチャ"で通じるようで、当たり前のようにこの略語が使われている。例えば医師が予防接種拒否を咎めるのも「インチャが騒いで冷静でいられなくなってしまった」ためだそうだ。http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=3349&reno=no&oya=3349&mode=msgview&list=new

*4:http://www.jphma.org/homoeopath/h_a/h_a_17.html

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