読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Not so open-minded that our brains drop out.

科学とニセ科学について書くブログ

ホメオパシー利用者の体験談とホメオパシー的アドバイス まとめ - ガンから心霊体験まで

ホメオパシージャパン系の学校ロイヤル・アカデミー・オブ・ホメオパシー英国本校(RAH-UK)のサイトには「ホメオパシー体験談紹介」*1という体験談投稿ページがある。投稿内容は文字通りの体験談や病気(時には悩み事)に関する相談、ホメオパシーに関する意見など。必ず「管理人」や「先生」からのアドバイス・コメントが付くのが特徴だ*2

その中でも特筆すべき事例をはてブから抽出し、要約と解説を付けてみた。

事例1

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=3359&reno=no&oya=3359&mode=msgview&list=new
ホメオパシーに頼り、皮膚の病気を患う息子に薬を与えなかった母親。息子は症状が現れた顔を見られるのが嫌で学校に行きたがらず泣き出す。それを見ていて堪らなくなった父親は一時は離婚すると言い出す。母親からの質問は「負けてしまいそうのときにどんなレメディをとればよいのでしょうか?」。「由利先生」からの回答は「苦しい時には、Nat-m, Ign, Rose-q, Rhodocなどをとってみてください。」

事例2

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?mode=allread&no=3405&page=0
花火で火傷してしまった子どもの親は「火傷には熱を」というホメオパシーの作法に則って40℃のお湯を火傷にあてるなどして対処した。それに対する管理人のアドバイスは「40度のぬるま湯よりも、蒸気をあてる方が本当は効果的」。さすがに他の投稿者から「あまりにもひどすぎ、かわいそう過ぎます。」「『すぐに冷やす。化膿した場合は、すぐに病院に行く』とのアドバイスを投稿者の方にしてあげてください。」との指摘されるが、管理人は「『すぐに冷やす』というアドバイスは残念ながら私としてはできません。」として譲らず。別の投稿者からは管理人を擁護する意見複数。

事例3

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=3349&reno=no&oya=3349&mode=msgview&list=new
予防接種を受けさせずに子育てしているという母親。小児科を受診するも小児科医にコテンパンにされる。管理人は「この医師は、自分の価値観と合わない人に遭遇し、否定されたと感じ、インチャが騒いで冷静でいられなくなってしまったのだと思います。」「この医師の言われていることを聞くと、ワクチンやはしかに関して無知であることがわかります。」とし、医師に問題があると結論づけた。

事例4

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?mode=allread&no=2329
ホメオパシーを科学的に否定する彼氏の飲み物にこっそりレメディを混入し、彼氏が寝ている隙にこっそりレメディを口に入れる彼女、曰く「ホメオパシーはなんて素敵なプラセボなんだろう!」「私がお見舞いに来てくれたから本当に痛みがなくなったよと言っていたけど、本当はアーニカが飲み物に入ってたんだよ」

事例5

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=1425&reno=no&oya=1425&mode=msgview&list=new
子どもが溶連菌に感染したが薬を飲まずレメディで対処しようと決めた母親。子どもにレメディを持たせて学校に行かせるが、その企みが学校にばれて担任や保健師に電話で厳しく指導される結果に。学校には「今から薬をもらいに言って飲ませます。」と伝えるが、「後悔したくないので」結局薬を飲ませないことに。管理人は「子供には先生に聞かれたら、お薬飲んだと言っておくように教えたらよいと思います」と子どもに嘘をつかせるようにアドバイス

事例6

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?mode=allread&no=2032
幼稚園から帰るときによく霊を連れ帰ってしまう四歳の娘。ただし、どういうわけか、風呂に入れると霊は離れるらしい。また、何の関係があるのかは知らないが、家の近くに高圧線があるため電磁波が良くなく、シューマン・ウェーブ・ジェネレーターという謎の装置でネガティブエネルギー等がよく検出される状況だという。母親からのどんなレメディを摂ったらいいかという質問に対する由井先生からの回答はベルリンの壁や「プルトニューム」などのレメディ・スプレーを使うべしというもの。管理人からは般若心経のレメディを挙げる意見も。
その後、アドバイスに従っても完璧には改善されず、子猫や子犬、女の子が憑依していると再び相談。それに対して管理人はレメディには未成仏霊を成仏させる力があるとし、さらにレメディを勧める。加えて般若心経延命十句観音経を唱えるべしというもはやホメオパシーが関係ないアドバイスも。

事例7

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?mode=allread&no=3388&page=0
腎臓の病気の子どもに対し薬を与えずホメオパシーで対処する母親。しかし、ひどい「好転反応」のために不安になり相談。これに対し「千葉先生」はさらにレメディを勧め、担当ホメオパスに相談するようにアドバイス。この時点で医者にかかるようにというアドバイスはなし。
このやり取りはリアルタイムでホメオパシーに批判的な人に伝わったため行政が介入する結果になった*3。「好転反応についてはかなり大げさに書いてしまったとのことでした。」とのことだが、管理人が過去に子どもに嘘をつかせるようにアドバイスをしていたことを考えれば、ある意味では被害者でもある母親の言葉であっても素直に信じることは私にはできない。

事例8

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=2789&reno=no&oya=2789&mode=msgview&list=new
母が新興宗教にはまってしまい、「教祖様の言うことは絶対で、これさえやっていれば幸せになれると家族に強制」してきて身内が困っているという男性からの何とも皮肉な相談。男性は洗脳された母親を正気に戻すレメディはないかと質問する。それに対して管理人はいくつかのレメディを挙げているが「そこまで信じ切っていたらレメディーでは難しいように思います。」と諦めともとれる部分も。

事例9

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=3450&reno=no&oya=3450&mode=msgview&list=new
お盆に夫の実家に帰省した際に家族が夏風邪を引いてしまったが、レメディを飲ませたら翌日には良くなっていたという体験談。後日談として、息子が実家で亡くなったはずの義父を目撃していたことを知り、実家で「土地の浄化」スプレーを使ってしまったために、無念の死を遂げた義父が夏風邪のような症状を引き起こしたのではないかと心配しているらしい投稿者。それに対する「菊田先生」のコメントは「素敵な夏の日のエピソードを交えた体験談、投稿ありがとうございます。」。なお土地の浄化のスプレーについては「サポート心経やサポート祝詞、Ayah(アヤワスカ)などの霊的なレメディーがいろいろと入っていますので、先祖の方々の供養としてスプレーすることは良いと思います。」とのこと。

事例10

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=3444&reno=no&oya=3444&mode=msgview&list=new
職場で嫌がらせめいた盗難事件があって困っているという相談。「東先生」からの回答は「100mlのスプレー容器にミネラルウォーターを入れ、そこにフラワーエッセンス*4を30回ほどスプレーし、空間に噴霧」すべしとのもの。

事例11

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=2931&reno=no&oya=2931&mode=msgview&list=new
夫が子どもに予防接種を受けさせることを強く希望しているために悩む母親からの相談。それに対して管理人は「当時の天然痘の罹患状況の情報を集めると、絶滅を長引かせていたのは予防接種それ自体と言わざるを得ない」「イギリスでははしかで死ぬ人はいないと聞きましたが」などと反予防接種なデマを垂れ流す。ただし、最後には予防接種を受けてしまった人にもレメディを買ってもらえるようにするためか由井先生の「離婚するぐらいなら、予防接種をしよう。そしてそのあとでレメディーとって排毒しよう」という言葉を引用。

事例12

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?mode=allread&no=1897
重症の花粉症のため複数の薬を飲んでいたが、ホメオパシーと出会い一切の薬を絶ったという女性からの相談。しかし、レメディの「好転反応*5がひどく、3年経ってもそれが続いているという。「青山先生」からのアドバイスは、「どうかご自身の治癒力を信じて、かかりつけのホメオパスに相談しながら、今後もホメオパシーを続けていただきたいと思います。」と締めくくられている。

事例13

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=1342&reno=no&oya=1342&mode=msgview&list=new
K2シロップを子どもに与えたくないので「そのレメディー」をもらったという母親からの相談。村上先生からの回答は「それとK2シロップの件ですが、産院で与えなくてもいいのであればその代わりにそのレメディーを与えていただいてもかまいません。」

なお、K2シロップの投与は乳児の出血症の予防に必要な処置で、ホメオパシーに傾倒した助産師がこれの代わりにレメディを与えた結果、乳児が死亡したとして山口で訴訟が起こっている*6

事例14

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=2067&reno=no&oya=2067&mode=msgview&list=new
流産しやすい体質のために医師からアスピリンと漢方薬を処方された妊娠女性が、実際にそれらの薬を飲むか迷って相談。管理人は「自然にやった場合、流産するかもしれませんので、どうするかは、ご主人と相談してお決めください。」とした一方で、「血液が濁っていること(体毒が溜まっていること)が根本原因」と決めつけ、「このような表現は誤解を招くかもしれませんが、浄化の機会を奪い、次に健康な子どもを生むための自然のしくみに逆らっているようにも思います。」と今後流産が起こることを肯定するかのようなアドバイスを与えている。

事例15

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=2240&reno=no&oya=2240&mode=msgview&list=new
進行性の肺がんでホメオパシーにかかっているという女性が、レメディはがん細胞を元気にすることもあると聞いて不安になり信頼が揺らいでいると相談。それに対して管理人は、がん細胞は増えることはあるが、それは「治癒の過程」であるとか「癌は体毒の分解工場だとしたら癌はあってもよいし、というかありがたいもの」とホメオパシーを擁護した上で、「ただ抗癌剤だのやってしまうと、ホメオパシーで癌は治癒しないと思った方がよいです。」とある意味脅迫めいた表現で通常医療の関与に否定的見解を示した。

事例16

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=3263&reno=no&oya=3263&mode=msgview&list=new
看護大学に入学する娘が「麻疹予防接種に関するアンケート」を提出しなければならないが、予防接種を受けさせたくないので虚偽申告をしようとする母親からレメディでどう対処すればいいか相談。それに対して「八幡先生」はレメディの種類と使用法を説明するだけで虚偽申告についてはスルー。

事例17

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=3449&reno=no&oya=3449&mode=msgview&list=new
家の薬を全部捨てた結果、夫がホメオパシーを頼ってくれるようになったという女性。仕事の悩みのためか夫が近頃自殺を仄めかすようになったが、どうすればいいかと相談。「鎌田先生」はいくつかレメディを挙げた上で、相談会に来るように勧めるのも医者を勧めはしない。

事例18

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=3486&reno=no&oya=3486&mode=msgview&list=new
ホメオパシーに批判的な報道が残念だと述べる投稿者。それに対して管理人は「研究されたら、あっという間に効果があることが判明してしまうため、さらに危機感をもった人たちがいたようです。」と陰謀論を披露。長妻昭前厚労相の辞任に関しては「厚生労働相が交替したことはとても残念に思います。」とした。

事例19

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=3305&reno=no&oya=3305&mode=msgview&list=new
植物向けホメオパシー商品「どじょっこ」を遺伝子組み換え作物に使えば、その植物をもとに戻せるか?という無茶な質問。それに対し管理人は「もとの植物に戻せるかどうかはわかりません」としつつも「遺伝子以前により精妙なエネルギーレベルでのエネルギーの流れ(植物固有の生命)がありますので、どじょっこで生命力が高まることで、もとの植物に戻ろうとすることもありえるのだと思います。」と謎の論理でその可能性を示唆。

事例20

http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=2462&reno=no&oya=2462&mode=msgview&list=new
「サポートBuddha」「サポートDragon」「サポートShinto」という「宗教ぽい」レメディについて解説を求める投稿者。「片桐先生」はそれぞれのプルービング*7の結果について説明。曰く「海外講師のシャーマ先生が日本にきた際に作られたレメディー」らしい。「サポートBuddha」に関しては、「上野の国立博物館仏陀の受胎、誕生の絵とそしてその人生、そしてその死後の火星にいったときの絵から作れた」と理解に苦しむ解説も。

総評

全体を通して言えることは、ホメオパシー信奉者がほとんど万能と言っていいくらいにホメオパシーの適用範囲を広く考えているということだろう。病気のみならず、それとは関係ない悩み事や事件に至るまで遍くホメオパシー的回答が用意されているのだ。事例8では唯一、ホメオパシーによる解決が困難との見方が示されているが、それでも具体的な名前を挙げてレメディを勧めることは忘れていない。

複数の事例から垣間見えるのは、通常医療に対する相談者の不信感と回答者の反通常医療的な立場だ。相談者にはホメオパシーとは無関係に通常医療に不信感を持っていた人もいるだろうが、ホメオパシー団体が反通常医療、特に反予防接種的な内容の書籍を販売し、そういったセミナーを度々開催している事実に照らしてみれば、そういった感情がホメオパシー団体によって植えつけられたか増強されている部分が多分に存在すると考えるのが妥当だろう。

また、「霊」「般若心経」「Buddha」などの宗教的キーワードが含まれる事例が複数あることも特徴的だ。通常医療に基づく診療や健康相談でこういったキーワードが(特に回答者側から)登場するとは考えにくい。一部はヨーロッパの神秘思想の一つである人智学、あるいはその創始者ルドルフ・シュタイナー*8の影響かもしれないが、事例20では明らかなようにホメジャ関係者が新たに導入したものもあるようだ。

なにはともあれ、少なくともこのホメオパシー団体関係者、特に「先生」と呼ばれている人たちにまともな判断能力が期待できないことは、以上のような常軌を逸したアドバイス*9が平然と公開の場所でなされていることからも明らかだろう。もしこのホメオパシー団体がまともで、問題があるのが一部の人間に限られるのだとしたら、偶発的に少数の誤ったアドバイスが掲載されることはあっても、これだけの数が無批判に放置されるということはないはずだ。

*1:http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi

*2:現在では批判的報道や行政の動きのためかホメオパスからのアドバイスは廃止されたようだhttp://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?no=3469&reno=no&oya=3469&mode=msgview&list=new

*3:http://d.hatena.ne.jp/lets_skeptic/20100715/p1

*4:フラワーエッセンスとは花を使って作る一種のホメオパシー治療薬のこと。

*5:普通の用語で言えば副作用だが、よくなる前に起こる一時的な悪化という意味でホメオパシーではこう言われることが多い。また、ホメオパシージャパンはホメオパシーには副作用はないという立場を取っており、好転反応はどういうわけか副作用とは別物という位置づけのようだ。

*6:http://www.asahi.com/health/feature/homeopathy01.html

*7:健康な人がレメディを飲むことでどんな症状が現れるかを観察するテスト

*8:いずれもホメオパシーと親和性の高いキーワードだ。

*9:ただし、私が紹介した20個の事例の中にはアドバイスの形式をとっていないものもあるが。