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科学とニセ科学について書くブログ

ホメオパシージャパンがJCBに加盟店契約解除を通告された件

すでにいくつかのブログで指摘されているように*1 *2 *3、ホメオパシージャパン株式会社がクレジットカード会社のJCBに加盟店契約解除を通告され、今現在ホメオパシージャパンのショップと同社の製品を扱う販売店において、クレジットカード決済が行えない事態が発生しているようだ。

ホメオパシージャパンの言い分

突然の加盟店契約解除の理由につきまして株式会社JCBに問い合わせましたところ、弊社商品が消費者の皆様にご迷惑をおかけした、事故が起きたからということではなく、また、ホメオパシーをご存じないJCB会員に不安を与えたということでもない、とのことであり、加盟店解除の理由として伝えられましたのは、「常識から考えて、ホメオパシーは効果がある健康食品とは思えない。むしろ消費者に心配を与える可能性を感じる。日本において社会的認知がないことが問題と感じている。社会的認知があれば、ネット等に見られるようなホメオパシージャパンへの誹謗中傷は生じない。日本でも海外のようにホメオパシーに健康保険が適用されるほど社会的認知度が上がれば、その時にJCB加盟店への再加盟を検討する。ホメオパシー全体の話であり、ホメオパシージャパンに限る話ではない。海外も含め、解除可能な契約は全て解除する」というものでした。
弊社に落ち度が無かったと証明されながらも上記理由にて契約解除されたことに対し、弊社から数度に渡り意義を申し立てました。
さらに、2011年12月、株式会社JCBからホメオパシージャパン商品販売店に対して「レメディーを取り扱っているから」との理由で、ホメオパシージャパン商品以外のその他の商品販売も含めて取引を終了する(加盟店解除)との通達があった旨、販売店様から報告を受けました。
弊社は、上記経緯に対して株式会社JCBに意見書を提出致しました。

(引用元: http://www.homoeopathy.co.jp/company/hj_20120121_1.pdf 強調は引用者による。)


    / ̄ ̄\
  /   _ノ  \   ホメオパシーは
  |    ( ●)(●)  効果がある健康食品だとは
  |     (__人__)   思えないだろ、
  | JCB     ノ
  |     ∩ノ ⊃ }   常識的に考えて。
  /ヽ   / _ノ }
 ( ヽ  /  / ノ
  ヽ “  /_|  |
   \__/__ /


        / ̄\
          | JCB |    ただし、ホメオパシージャパンには何の落ち度もない。
        \_/
          |      
       /  ̄  ̄ \   日本でも海外のようにホメオパシーに健康保険が
     /  \ /  \  適用されるほど社会的認知度が上がれば、
    /   ⌒   ⌒   \ 再加盟を検討される権利をやろう
    |    (__人__)     |
    \    ` ⌒´    /   ☆
    /ヽ、--ー、__,-‐´ .\─/
   / >   ヽ▼●▼<\  ||ー、.
  / ヽ、   \ i |。| |/  ヽ (ニ、`ヽ.
 .l   ヽ     l |。| | r-、y `ニ  ノ \
 l     |    |ー─ |  ̄ l   `~ヽ_ノ_



  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           O 。
                 , ─ヽ
________    /,/\ヾ\   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_   __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/'''  )ヽ  \_________
||__|        | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从  | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\  /   ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/        = つづく = 

JCBの中の人が「誹謗中傷」などという表現を安易に使うとは考えにくく*4、JCB側からの説明とされている太字で強調したカギ括弧部分が実際の説明と一致するかは疑わしい。それに、「日本でも海外のようにホメオパシーに健康保険が適用されるほど社会的認知度が上がれば、その時にJCB加盟店への再加盟を検討する。」とするとした部分が仮に事実だとすれば、それこそ再加盟の検討自体が絶望的だと判断せざるを得なくなってしまうだろう。

ついでに本筋と関係ないツッコミを入れておけば、そもそも健康食品の販売に当たって効果効能を標榜することは薬事法違反なのだから、「ホメオパシーは効果がある健康食品とは思えない」という記述は矛盾を包含している*5。レメディの販売を行なっているホメオパシージャパンは「御社の販売しているレメディという健康食品に効果はあるのですか?」と質問されたとしても、公式に「はい、効果があります。」と答えることすら本来はできないはずだ。

事実関係とそれに基づく推測

契約解除について

まず、JCBと加盟店との契約の規約は、Web上に公開されている。

第11条( 加盟店の義務、差別的取扱いの禁止等)

(中略)

3. 加盟店は、以下に定める内容の信用販売およびギフトカードの取扱いを行わないものとします。
(1)公序良俗違反の取引
(2)法律上禁止された商品等の取引
(3)特定商品取引に関する法律に違反する取引
(4)消費者契約法第4 条の規定に基づき取消しが可能である取引
(5)当社またはJCB が会員またはギフトカードの使用者の利益の保護に欠けると判断する取引
(6)会員が遵守すべき規約に違反して行おうとする取引
(7)その他当社またはJCB が不適当と判断する取引

(中略)

第32条( 契約解除)
1. 前二条の規定にかかわらず、加盟店が以下の事項に該当する場合、両社は加盟店に対し催告することなく直ちに本契約の全部もしくは一部を解除できるものとし、かつ、その場合両社およびカード会社に生じた損害を加盟店が賠償するものとします。
(1)加盟店申込書等加盟に際し両社に提出した書面および、第5 条第1 項記載の届出事項に虚偽の申請があったとき
(2)他の者の債権を買い取って、または他の者に代わって当社に債権譲渡をしたとき
(3)第11 条の規定に違反したとき

(引用元:http://www.jcb.co.jp/kiyaku/pdf/kameiten0705_02.pdf 強調は引用者による。)


以上のように、第11条に挙げられた加盟店が禁止行為を行った場合には、第32条に基づいてJCBは催告なしに契約解除が行える取り決めになっているらしい。しかし、今回のホメオパシージャパンのケースでは、

2011年9月8日、株式会社JCBより突然、加盟店契約解除の連絡を受け、12月16日より直営店店頭にてJCBカードにてお支払いいただけなくなりました。

(引用元: http://www.homoeopathy.co.jp/company/hj_20120121_1.pdf)


と、予め催告と思われる連絡が行われている模様であり、JCB側は少なくとも明示的にホメオパシージャパン側の契約違反行為によって契約を解除したわけではなさそうだ。むしろ、以下の条文に基づく「解約」がなされていると考えるのが妥当だろう*6 *7

第31条( 解約)
1. 前条の規定にかかわらず、加盟店または両社は、書面により3ヵ月前までに相手方に対し予告することにより本契約を解約できるものとします。

(引用元:http://www.jcb.co.jp/kiyaku/pdf/kameiten0705_02.pdf)


ホメオパシージャパンの非を露骨に指摘するのではなく、穏便に(うやむやに?)契約を解消しようするJCB側の意図が伺える。

JCB以外のクレジットカードも使えない件

また、ホメオパシージャパンの説明を読む限りでは、加盟店契約解除を通告を行ったクレジットカード会社としてはJCBの名前しか挙がっていないが、現在ホメオパシージャパンのオンラインショップでは、JCB以外のカードも含めてクレジットカード決済は利用できないようだ。これは、

また、インターネットショッピングにつきましては、三連休直前の2011年12月22日夕刻、インターネットでのクレジットカード決済会社より、他のカードを含めての契約解除通告があり、クレジットカード決済が不可能となりました。

(引用元: http://www.homoeopathy.co.jp/company/hj_20120121_1.pdf)


とあることから、おそらくは、JCBの判断を受けて、JCB以外のカードも含む「インターネットでのクレジットカード決済」を担当していたJCBとは別の会社がホメオパシー・ジャパンとの契約を解除してしまったためなのだろう。

ホメオパシージャパン以外のホメオパシー関連ショップでの決済は?

ホメオパシージャパンの説明にはJCB側の談として、

ホメオパシー全体の話であり、ホメオパシージャパンに限る話ではない。海外も含め、解除可能な契約は全て解除する。

(引用元: http://www.homoeopathy.co.jp/company/hj_20120121_1.pdf)


とあるが、今のところ、イギリス製のレメディ等を販売しているニールズヤードレメディーズ*8とドイツ製のレメディ等を販売するマリエン薬局*9の日本のオンラインショップでは、JCBも含めてクレジットカード決済が可能とされている。

JCBや「インターネットでのクレジットカード決済会社」の判断は是か非か

結局のところJCBがどんな理由で加盟店契約解除に踏み切ったのかは分からないし、そもそも加盟店契約解除の事実すら当事者の一方であるホメオパシージャパンの説明以外にそれを裏付ける材料はない。だが、仮にそれが事実だとすればJCBの判断は正当なものと言えるのだろうか。

ホメオパシージャパンのビジネスが公正なものとは言えないという見解は私が繰り返し述べてきたことだ。JCBが良心や企業倫理に基づいて、そうしたビジネスから消費者を守ろうとしているのであれば、個人的にはJCBを評価したいところだ。一方で、それは私の一意見に過ぎず*10、JCBの対応によって、自分の意思でホメオパシーグッズを購入するという選択肢が消費者から奪われたことをよしとしない意見もあるのかもしれない。しかしながら、そうした意見に一定の分あるにしても、JCBが一私企業であることを考えれば、JCBの自主的判断は基本的には許容されると私は考える。

極端な話、JCBが良心や倫理とは何ら関係なく、自社のブランドイメージの保護というような純粋な利害のためにホメオパシーとの契約を打ち切ったとしても、それを理由に一私企業に過ぎないJCBが責められる筋合いがあるとも思えない*11。もちろん、JCBが一私企業に過ぎないからこそ、ホメオパシーグッズを購入するという選択肢を重視する消費者には、JCBのクレジットカードを選択しない権利がある。尤も今回に限っては、「インターネットでのクレジットカード決済会社」の判断で他社のカードも使えなくなってしまったわけだが、ホメオパシージャパン側にも、この「インターネットでのクレジットカード決済会社」と再契約することを諦め、他社との契約を試みる自由があるのも事実だ。ただし、ホメオパシーという怪しげなものを売り物にする怪しげな企業であるホメオパシージャパンが、これまた一私企業にすぎない他の「インターネットでのクレジットカード決済会社」から、契約相手としての適格性を認めてもらえるのかは私には分からない。

*1:http://nplll.com/archives/2012/01/_jcb.php

*2:http://slashdot.jp/journal/545555/JCB%E3%81%8C%E3%83%9B%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%91%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%91%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8A%A0%E7%9B%9F%E5%BA%97%E5%A5%91%E7%B4%84%E3%82%92%E8%A7%A3%E9%99%A4

*3:http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20120123#p1

*4:「誹謗中傷」に関して第三者に過ぎないJCBが、わざわざホメオパシージャパン側の「誹謗中傷」があったという立場を採用しても、JCBには何の得もないだろう。

*5:これがホメオパシージャパンの作文に近いものなのか、実際に薬事法に詳しくないJCBの担当者がうっかり言ってしまったのかは分からないが。

*6:言うまでもなく、実際のやりとりを私が知るはずもないので、これは想像に過ぎないのだが。

*7:少なくとも規約の用語法では、解約と契約解除の位置づけは異なるようだが、ホメオパシージャパンがこの通りに区別しているかは総合的に考えて怪しい。

*8:https://www.nealsyard.co.jp/onlineshopping/guide/guide03.html

*9:http://www.marienremedy.com/archives/2010/payment.html

*10:これは飽くまでJCBが契約を解除したことを是とする私の意見のことである。ホメオパシーが無効であるということは臨床試験に裏付けられた客観的事実であり、意見ではない。

*11:もちろん、合法的に行われている限りにおいて。

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