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Not so open-minded that our brains drop out.

科学とニセ科学について書くブログ

池田整治氏による予防接種否定論と自衛隊

週刊SPA!に寒気がする記事が載っている*1

この記事は、健康問題を研究している池田整治氏に対するインタビューの形式をとっている。インタビュアーが研究テーマを問うと、彼はこう答えた。

大きくは2つあります。まず、人体の免疫機構に対する誤解を解くこと。もう1つは、そうした人体の自然治癒力を低下させる要素、食品添加物、水道水に含まれる塩素、そしてワクチンの危険性を周知させることです。

(引用元: 扶桑社 週刊SPA! 1/19号 20ページ)


食品添加物と水道水に含まれる塩素の件も気になるが、この記事では3つ目のワクチンの危険性について書かれている。この人物は人体の免疫機構に対する「誤解」について独自の免疫理論(笑)に基づいて説明しているが、詳細はソースを参照されたい。要約すれば、予防接種はむしろ免疫力を低下させ、さらに自己免疫を誘導してしまう危険なものらしい。インタビュアーの「なぜそんなものが国の推奨で国民に接種されているのですか?」という至極当然の質問に対し、この池田氏はこう答えている。

メディアによるマインドコントロールと言うと陰謀論めいていますが、インフルエンザ治療にまつわるお金の流れを見れば状況は一目瞭然です。マスメディアが恐怖心を煽り、予防接種を半ば義務化することで得をするのは誰か。例えばタミフルの製造元であるギリアドサイエンシズ社の元会長はあのラムズフェルド氏。タミフルやワクチン接種の必要性を積極的にニュースで流しているのは、是非はともかく米国主導の世界金融体制下にある国家ばかりですよ。

(引用元: 扶桑社 週刊SPA! 1/19号 21ページ、強調は引用者による。)


いやいや、陰謀論めいているのではなく、私には陰謀論その物に見えますが。その後、池田氏は驚愕の事実を明かす。

さらに恐ろしいことに、日米の主要メディアでは一切報じられていなかったのですが、あるインフルエンザウイルスワクチンには、なんと生きた鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が入っていたんです。またま出荷先のチェコ動物実験をやったところ、3000匹まフェレットが全滅です。こんなことがBSL3の下、厳格に管理している研究所で起こるはずがありません。単なる過失では済まされない、なんらかの意図を感じざるえません。もしも運良くチェコで事件が発覚しなければ、毒性の強い鳥インフルエンザウイルスが世界中に拡散していたはずですから。

(引用元: 扶桑社 週刊SPA! 1/19号 21ページ、強調は引用者による。)

混入事故ではなく、意図的に混入された可能性が示唆されている。見出しにある「新型インフルエンザはウイルステロだった!」というのはこのことだろう。
しかし、インフルエンザの「恐怖心を煽り、予防接種を半ば義務化することで得をする」はずなのに、そんな危険ものをわざわざ混入したら駄目だろ、常識的に考えて。どうやら予防接種の背後には、ワクチンを利用した金儲けと大規模ウイルステロとの間で葛藤する優柔不断な闇の権力が存在するようだ。

ちなみに、池田氏はこの危なっかしい予防接種に警鐘を鳴らしただけではなく、きちんと解決策も提供している。

自然治癒力を高めるアプローチが最善の策です。基本は、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラルらの栄養をしっかりとって口養生すること。逆に体内に入れてしまった毒素などを除去するには、英国王室の信任も厚いホメオパシーが良いでしょう。

(引用元: 扶桑社 週刊SPA! 1/19号 21ページ)


ホメオパシーとは200年前にドイツで考案された"医療"のこと。創始者は医師であり、当時は医療とされていたが、現在では調査の結果、有効性が事実上否定されているので呪術と呼んだ方がいいだろう*2。この人物は有効性が科学的調査によって認められている予防接種を否定して、逆に有効性が事実上否定されているホメオパシーを推奨しているのだ。


私は普段、週刊誌を読まないので良く知らないが、もしかするとこの種の週刊誌というものはいつもこういういい加減な記事ばかりで、この記事が特別目立つものではないのかもしれない。しかし、私がすごく気になったのは、この記事で自説を垂れ流している人物が陸上自衛隊の1等陸佐の池田整治氏だということだ。

テロ対策を任務とする自衛隊の現役自衛官が、予防接種がテロであるかのように思い込んでいる。これは結構深刻な問題と思う。さらに池田氏は陸上自衛隊小平学校の人事教育部長の職にあるらしい*3。こういう陰謀論を信じてしまうような人が自衛官の教育に関わっていて大丈夫なのか?
事実、池田氏はこんなことを学校で教えているらしい。

池田:この人事教育部では、人事、広報、厚生、法務に携わる幹部の育成及び事務官等の教育を行っています。当校には年間約2700名の学生がきますが、我が部はその中でも最大の約800名の陸・海・空の隊員が入ってきます。教室ではそれぞれの教官が教育を行なっていますので、私が行うのは全般的な指導が中心です。彼らに対して訓話を行う時間があるのですが、その時に船井先生のおっしゃる"百匹目の猿現象"の話をしたり、「意識づけ」を主に行います。意識を高めることが私の仕事だと思っています。

(引用元:http://ikedaseiji.com/)


"百匹目の猿現象"とはライアル・ワトソン氏が著書で広めた現象だが、実は作り話だったことが判明している*4
また、池田氏は牛乳についてこんなことをさらっと語っている。

 いま、大量に出回っている食品に含まれる添加物の量というのはすごいですよ。やはり人間にとって、とくに組織のリーダーになるような人にとって一番大切なのは健康管理ですから、食生活も日本人本来の和食に戻るのがいいと思いますね。戦後、牛乳を普及させたのはアメリカの洗脳だと思いますよ。

(引用元:http://ikedaseiji.com/)


教育といえば、池田氏は防衛大学校の出身らしい。阿久根市竹原信一市長も、元航空幕僚長田母神俊雄氏もそうだ。池田氏が小平学校でやっている教育も問題だが、それ以前に自衛隊の幹部教育は大丈夫なの?

*1:該当記事はホメオパシージャパン株式会社のサイトにアップされている。もしかして宣伝のための記事なんだろうか? [http://www.homoeopathy.co.jp/press/20100113133323911.pdf] 追記(2010/2/6): どうやらホメオパシージャパンが代理店にニュースとして情報を流していたらしい。[http://supreme-yuka.cocolog-nifty.com/homoe/2010/01/post-51a7.html]

*2:[http://sp-file.qee.jp/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=%A5%DB%A5%E1%A5%AA%A5%D1%A5%B7%A1%BC]

*3:[http://ikedaseiji.com/]

*4:[http://sp-file.qee.jp/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=%C9%B4%C9%A4%CC%DC%A4%CE%A5%B5%A5%EB]

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