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Not so open-minded that our brains drop out.

科学とニセ科学について書くブログ

日本助産師会会員の助産所の12ヶ所に1カ所はビタミンKの代わりにホメオパシーのレメディを与えたことがある。

かねてから進められていた社団法人 日本助産師会のホメオパシーについての実態調査の結果が公表された。その内容は日本助産師会のウェブサイトで読むことができる。

http://www.midwife.sakura.ne.jp/midwife.or.jp/pdf/homoeopathy/homoeopathy220907.pdf

調査結果の概要

(1)助産所 433 か所(有床 266か所、無床 167か所)のうち、414か所ら回答を得た。無回答の19か所は分娩休止中の助産所である。
(2) 調査時点において、ビタミン K2 シロップはすべての助産所で投与していた。
(3)過去 2年以内にホメオパシーのレディを投与してビタミンK2 を投与しなかったケースを取り扱ったことがある者は36 か所であった。その主な理由は以下である。
[1]薬剤拒否の妊婦にどうしてもと頼まれてビタミンk2を投与しなかった。
[2]ホメオパシーを学んでいる妊婦からの希望があり、小児科医より危険性の説明を受け、小児科医了解のもとビタミンK2を投与しなかった。
[3]ビタミンK2シロップとホメオパシーのレメディと両方の説明を行い、妊婦の選択によりレメディのみの投与を行った。

(引用元: http://www.midwife.sakura.ne.jp/midwife.or.jp/pdf/homoeopathy/homoeopathy220907.pdf 強調は引用者による。文字化けのため番号表示法を一部変更。)


単純計算で言えば、日本助産師会会員の助産所の12ヶ所に1カ所はビタミンKの代わりにホメオパシーのレメディを与えたことがあるという調査結果だ。

なお、日本助産師会への入会は任意であり、すべての日本の助産師が調査対象になったわけではない。また、今回の調査は助産所毎のものであり、調査結果の数字は人数とイコールではない。

ビタミンKシロップの代わりにレメディを投与した理由について

ホメオパシーのレディを投与してビタミンK2を投与しなかった「主な理由」には「はいそうですか」と言えないものがある。

まず、理由[1]のケースでは法的に義務付けられているわけでもないビタミンKを無理やり与えることはできなかったというのは分からないでもない。しかし、そうだとしても、その代わりとしてどうして何の効果もないホメオパシーが使われたのか分からない。理由[3]では、本当に正しい説明が行われたのかという疑問が湧いてくる。正しい説明とはもちろん「ビタミンKシロップには出血症のリスクを減らす効果がありますが、ホメオパシーには何の効果もありません。」といったもので、医療の専門家である助産師には当然このような正確な説明が要求される。しかし、現実に説明後にホメオパシーが選択されたことを考えれば、この助産師はホメオパシーは有効だと説明したに違いない。あるいは、ビタミンKのリスクを不当に煽っていたということも十分にありえる。現に日本ホメオパシー医学協会はこの期に及んでもこう述べている。

もし、このK2シロップにそこまでの必要性があるのならば、国は投与を義務化すべきと考えますが、生後わずかな赤ちゃんに、出血を防止するために人工物を投与することが、本当に何も影響がないのか、K2シロップは副作用がないと言われていますが、期的に見ても本当に何も影響がないのか、誰も追跡のしようがない状況で、義務でない人工物を摂取しない、という自由は、もちろん自己責任においてですが、認められるものと考えています。この件はいずれ法廷で事実関係が明かされるものと考えています。

(引用元: http://jphma.org/About_homoe/jphma_answer_20100828.html 強調は引用者による)

日本助産師会が表明した「対応」についてのコメント

4 対応
(1) 現時点で、ホメオパシーのレディを投与してビタミンK2を投与しなかった生後2か月 以内の乳児については、分娩を取り扱った助産所に対しビタミン K2シロップを投与するよう指導した。
(2)ホメオパシーのレメディを投与してビタミンK を投与しないことのよう、各支部の安全対策委員等による支部内助産所への個別指導を徹底する。
(3)安全対策に関する研修を実施。
(4)全会員への周知徹底を図る。

(引用元: http://www.midwife.sakura.ne.jp/midwife.or.jp/pdf/homoeopathy/homoeopathy220907.pdf)


書いてあることには別におかしなことはないが、私は「え?これだけ」という感想をもった。

日本助産師会は、過去に何度もホメオパシーについての講演会やセミナーを開催しホメオパシーの普及に協力してきた*1。もしそういった過ちがなければ、この危険行為がこれほど多くの助産所で横行することはなかったのではないか。助産師がここまでホメオパシーに汚染されてしまった責任の一端は組織としての日本助産師会にあると思う。

それなのに、今日に至るまで日本助産師会はそういった事実には一切言及していない*2。もしかして責任の所在を曖昧にしてこのまま幕引きを図るつもりなのだろうか? もしそうだとしたら、少なくとも私は、助産師さんを必要としている身内や友人に「とりあえず日本助産師会所属の助産師は避けたほうがいい」とアドバイスすることになるだろう。

*1:http://putorius.mydns.jp/wordpress/?p=716

*2:少なくとも公式の発表で目にした記憶はない。