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Not so open-minded that our brains drop out.

科学とニセ科学について書くブログ

TBSラジオ Dig「ホメオパシー問題から代替医療を考える」を聴いて

TBSラジオのDigという番組の8月19日の放送で「ホメオパシー問題から代替医療を考える」というテーマが扱われた。パーソナリティは荻上チキ氏*1外山惠理氏でゲストは医療ジャーナリストを自称する田辺功氏*2。阪大の菊池誠氏と民主党参院議員の櫻井充医師*3も電話出演した。その内容は今では番組のサイトからmp3形式でダウンロードできるようになっている*4

冒頭で山口の訴訟を発端にした一連のホメオパシー報道が紹介されたこともあり、番組の内容はテーマ通りホメオパシーを社会的な「問題」として位置づけたものだった。専門家として呼ばれたであろう田辺氏の暴走にはいささか驚かされたが、パーソナリティの二人の適切なツッコミとフォローで番組の公正さは保たれていたように思う。

田辺氏のホメオパシーに対する不十分な認識と不公正な態度

田辺氏は番組の前半でホメオパシーの概略について説明を始めた。田辺氏は始め「一言で言えば"毒を持って毒を制す"」と説明したが、そこで荻上氏からの希釈率についての絶妙なフォローが入り、それに促される形で田辺氏からもそういった批判に対するホメオパシー側の言い分についての説明がなされた。

田辺氏は希釈率が低いレメディについては効果がないわけではないとした一方で*5

ただ、そこをどれだけ薄めたときにですね、、、まで効果があるというのは、まぁいろんな実験がありますが、まぁあの、疑問視するのがどちらかというと強いかなということですね。


話し言葉特有の曖昧さがあるが、これは典型的な十分希釈されたレメディの効果についての田辺氏の認識の表明だと私には解釈できた。そうだとすれば、複数の臨床試験によって効果がないことが事実上証明されているホメオパシーに対して、「疑問視するのがどちらかというと強いかな」と評するのはちょっと不公正な立場のように思える。

話題が時代や流派等によって希釈率が異なるという話に移った後、田辺氏は今度はこう述べた。

それは、それぞれですね、いろんな考え方が入っています。そして、またさまざまなケースがありますんでね、これ、なかなか使っていない人たちが本当にそれは効かないんだと言えるかどうかというのは難しいとこなんですね。これは真剣にやっている人たちもいるわけですから。


以上の発言が低希釈率のレメディに対するものである可能性はある。確かに低希釈率のレメディについては何か効果があったとしても不思議ではないが、それはある濃度の薬剤に効果があったということに過ぎず、高希釈率ほど効果が大きいとするホメオパシー自体の有効性が証明されたことにならない。

それに、ホメオパシーを使っているか使っていないかは、ホメオパシーの効果についてものを言うことができるかということとは関係がないことだ。むしろホメオパシーを使ったことがある人が体験談に基づいて効果について議論することの方がよっぽど危うい。それは『やる夫で学ぶホメオパシー』でも紹介したように体験には強いバイアスが掛かっており、人間はそれによって簡単に錯覚に陥ってしまうからだ。ましてや「真剣にやっている人たち」がいることがホメオパシーの有効性を議論する上でどれだけ参考になるというのだろう。ブッシュ前大統領や英国王室のメンバーが爬虫類だと真剣に考えている人を私は複数知っている*6

番組全体を通して田辺氏はこんな調子で、ホメオパシーを肯定しないまでも、効果がないことをはっきりは言わず、中途半端で曖昧な態度を崩さなかった。


阪大の菊池氏が電話出演しホメオパシーがプラセボに過ぎないことと現代医療拒絶の危険について説明した後も

今の菊池先生の話ですと、全く箸にも棒にもかからないという感じでしたけど、 ホメオパシーについてはね。しかし、本当に科学っていうのは病気とか医療にずーっと浸透しているかというと私の経験ではあんまり科学的でない部分っていうのはずいぶん多いとも、他の医療も多いということも言えますし。それから、一番気がかりなのは、私自身は特にホメオパシーを支持したりっていうことではないですが、ただホメオパシーをヨーロッパなんかでやってる人たちの中にはかなりちゃんとしたお医者さんもいらっしゃるんですよね。そういう人たちが全く荒唐無稽な話に騙されてそういうことをやっていると、ぱぁっと単純にきれるのかということがあるんです。


ちゃんとしたお医者さんもやってるから単純には否定出来ないとでも言いたげな口ぶりだ。私に言わせればホメオパシーという荒唐無稽なものに手を出している時点でその医者は「ちゃんとしたお医者さん」ではないわけだが*7
ついでに言っておけば、ホメオパシーは単純に切り捨てられたわけではなく、さらに欧米を中心に多くの臨床試験データが蓄積され、その周到な分析に基づいて否定されている。これほどデータが揃っている偽医療は少ない。

ホメオパシーと山口の訴訟を引き離そうとする田辺氏

まぁあの、報道なんかを見ますとですね、やっぱりごっちゃになっていると思うんですね。まぁそれでホメオパシーという治療に効果があるかどうかという問題とですね、それからビタミンKの欠乏性失血症でですね、赤ちゃんが亡くなったと。これは実はですね、今20年くらい前からK2シロップですかね、、、はやって、10年くらい前からはほとんど100%に近いふうにやられてますが、昔はですね、あの普通の病院病院だってですね、シロップなんかやってませんので、特に母乳の子どもさんなんかはですね、よく亡くなったりしたんですよ。ですから、これは何十年か前はあの、普通の病院でも同じことだったんですけどね。


さすがにこの発言については空かさずパーソナリティの外山氏がツッコミを入れた。

でも、まぁ、何十年前はそうかもしれないですけど、シロップを与えれば、なくならなかったわけですよね?


このツッコミに対して田辺氏は「今はね」「そうです、そうです。」と同意している様子だったが、その直後に「ですから、そのシロップを与えることとホメオパシーというのがごっちゃになっているのではないかと」と当初の主張を繰り返すだけだった。訴訟になっている事案は、昨年の話でありその時点ではビタミンKの投与は常識になっていたのだから、何十年も前の話を引き合いに出すのは理解出来ない。少なくとも今回の事案に関して言えば、被告の助産師がビタミンKの代わりにホメオパシーのレメディで対処しようとしていたとされている*8のであって、ビタミンKの不投与は単純な怠慢によるものではない。ホメオパシーのレメディという代替手段があると考えたからこそ助産師は本来必要なビタミンKの投与を行わなかったのだ

外山氏が、助産師が「関係者などに対しホメオパシーのレメディを与えたと説明しているという」という朝日新聞の報道を改めて読み上げて、田辺氏に見解を問うと、

まぁあの、ビタミンK欠乏症に対するレメディというのはたぶんないと思いますけどね。つまりこれは起これば急性の病気なんですよね。本質的にはホメオパシーは急性の病気も対応するとは言っていますが、原則的には慢性の病気なんですよね。例えばアトピーであるとか、長くかかるなかなか治らないという病気が対象なわけです。このビタミンKのような、あるいは今ですね、髄膜炎のワクチンとか肺炎双球菌のワクチンとか話題になってますでしょ。ああいうものは一旦発病すると対応が難しいということからワクチンというのが出てるわけです。それで、K2シロップも一旦起こってしまうと障害が大きいということからワクチン的な使い方をされているわけです。これとホメオパシーというのは必ずしも重なっていないというか、ホメオパシーをやる人はすべてワクチンやビタミンK2シロップなんかを拒否するというようなことではないんですよね。ですから、ちょっとこのケースですべてのホメオパシーがそうであるというふうに捉えるのはどうなんでしょうね。


別にホメオパシーをやる人はすべてビタミンKとワクチンを拒否するなんて誰も言っていないわけだが*9、問題の助産師が所属していた団体が反予防接種的だったことは明らかだし*10、この関連団体がビタミンKの代わりにレメディを投与するように会員にアドバイスしていた記録は残されている*11

田辺氏の今回の件は特殊なケースであってホメオパシー自体の問題ではないと問題の分離を図る様子は、まるで事件で批判が波及するのを恐れて必死に自分のところは違うと言い訳する他のホメオパシー団体の言い訳のようだ*12

民主党参院議員の櫻井充医師の発言について

番組では民主党統合医療政策にも触れ、ホメオパシーについて国会答弁でもホメオパシーの名前が挙がったあったことにも言及があった。
そういう前置きの後に、民主党の櫻井充参院議員が電話出演しした。櫻井議員は医師でもある。統合医療とはどういうものかという荻上氏からの質問に対しては、

統合医療というのは、今申し上げました通り、西洋医学と後は今お話にありましたが東洋医学的な漢方薬から始まって鍼灸、マッサージ、後は西洋ですとアロマテラピーとかですね、今だと中国の気功とかいろんな、まぁ簡単にいえば西洋医学以外のもの、これまではそれを総合して代替医療と呼んでたんですが、それを合わせたものを、今度は合わせたので統合医療と、、、。


それに対して外山氏は「合わせたものとおっしゃいますけど、その中にホメオパシーは入ってるんですか?」と質問。

そうですねぇ。なんと言ったらいいんでしょうか、人の体を調整していくと言ったらいいんでしょうか。あの、まぁこれ、人の体の、なんと言ったらいいのかな、分析なりそれから治療していくところのあの、私は考え方なんだろうと理解しているんですどね。


質問にきちんと答えないのもアレだが、櫻井議員は非常にぼんやりしたホメオパシー像をお持ちのようだ。まぁしかし、仮に熱くホメオパシーについて語られてしまっても逆に心配になってしまっただろうから、これは良しとしよう。

次に、外山氏がプロジェクトチームがこれらの統合医療への保険適用を検討しているのかという旨の質問をし、それに対して櫻井議員は、

まだそこまではいかないですね。そこまではなぜいかないか、さきほどEBMのお話がありましたが、医学的にまず証明することが先なんだろうと。まず少なくともですね、今言われている中でも、効果のあるものと効果のないものと、むしろ逆にいうと体に悪になるものもあるんじゃないかという指摘もあります。ですから、とりあえずその区分けから始めて行かなければいかないでしょう。


なるほど。政府が貴重な税金を偽医療に投じる時代が来るのではないかとビクビクしている私からすれば、以上の櫻井議員の発言はその気持を安心させるものではある。しかし、この発言の続きはそうではなかった。

そのためには、統合医療センターというセンターをまず作るべきだろうと。これは世界でもいろんな国にもう統合医療センターがあるので、まず日本でそういうセンターを作ります。そこのセンターでデータの分析、それからデータの集積を行って行ければいいのかなと。


以前のエントリーでご紹介したことだが、「統合医療センター」という言葉は日本統合医療学会の政府への提言にあったものだ。櫻井議員はこの番組内では日本統合医療学会からの提案だとは言っていないわけだが、この提案は櫻井議員あるいは党の方針として採用されてしまったのだろうか。

ちなみに、この提言書では「ホメオパシーと健康食品」「エネルギー療法」などの研究施設を九州大学の先端医療センター内の敷地に新設するという非常に具体的なハコモノ提案まであった。櫻井議員・民主党・政府が統合医療学会の提案を無批判に受け入れるとは限らないが、現役与党議員の口から「統合医療センター」の名前が出た以上、今後の動向を注意深く観察する人用がありそうだ。

荻上氏はこの「統合医療センター」発言に対して、これまでも漢方・鍼灸などは通常医療に取り入れれていたのに敢えてセンターを作って研究を推進する理由を問うた。

例えばですね、一番わかり易いのは健康食品だと思うんですね。健康食品と言われている類ですね。だけど、その健康食品と言われている類の中でも医学的に効果があるんではないかと言われているものがあるんです。まぁ例えば、あの実際、うちの娘なんかも飲んでますけども、プロポリスって言うのを飲んでると、ちょっとすいません、こんな話言っていいのか分からないですが、生理痛が収まっているんですよね。そういうものを何人かの人に使ってもらったら、やはり今までひどかった人たちが軽減されただとかですね。そうなってくると、使えうる可能性があるものってあるんじゃないだろうかと。ですから、今までになかったものに対し先程申し上げたとおり、いろいろ区分けはしていかなきゃいけないんじゃないかなと。
それから今まで何気にやっていたものってありますよね、例えば気功であるとかですね。こういったものを今、帯津先生のところなんかでは、使われていますけども、これだって効果があると言われて彼はやっていますけど、そうすると本当にそれが効果があるかないかとか、従来から何となくはやっていた民間療法みたいなものが本当に効くか効かないかみたいなものをきちんとしてった方がいいんじゃないかって話になってるわけですよ。


なんだかまたしても質問と答えが噛みあっていないような気がするが、櫻井議員が娘の体験談に基づいてプロポリスが生理痛に効くと短絡思考しているのは分かった。それから「気功なんて何気には、やってねーよ」というツッコミは当然ありうるわけだが、ここで帯津先生の名前が出てきたのも興味深い。帯津良一医師は、報道ステーションのガン難民特集で取り上げられたように、ホメオパシーを癌患者に適用している人物であり、日本ホメオパシー医学会の会長である。帯津医師は、気功はともかくとしても、効果がないことが証明されているホメオパシーすら病院で癌患者相手に使ってしまう人なのだ。そして帯津医師は先程も名前が挙がった民主党へのロビー活動に熱心な日本統合医療学会の理事であり、どう見ても怪しげな健康食品「天仙液」の宣伝にも協力しちゃう医師である*13


それからその医療費削減のためというのはあんまり言いたくない話ではありますが、もしその民間療法でお金の掛からないもので現に健康を維持できるんであったとすればですね、そういうものをもっと積極的にやってもらえばいいと思うんですね。例えば僕なんかが好んでやっていることに操体法というのがあるんですけど、この操体法っていう治療法を使うと寝違えとかぎっくり腰であれば簡単に治療できます。


櫻井議員、あるいは民主党統合医療を推し進める理由の一つが医療費削減であることが明らかにされた。*14政府が医療費削減のために代替医療を悪用する可能性については山形大学天羽優子氏が以前から指摘し危惧していたことだ。

 政治家や官僚が「高価な先端医療は金持ちにしか使わない、貧乏人は代替医療よい」とは絶対に口が裂けても言わないだろう。しかし、代替医療の効果を煽る宣伝を放置すれば、「情報&経済的弱者」の何割はその宣伝を信じ、自分から進んで代替医療を選び始めることが予想される。これは「患者の自己選択・自己決定」のもとに行われることになる。山形大学で学んだ学生さんは、社会に出てからも、自分がこういう方向に誘導されない・こういう方向に他人を誘導する社会を作らない、という行動をしてほしいと思って、講義の時に触れている。

(引用元: http://www.cml-office.org/ehold/?logid=6175)


私は、櫻井議員の発言を聞いて民主党の下心を垣間見た気がした。


ただし、櫻井議員は荻上氏が「ちょっと気になるのがやっぱり予算とか絡む問題だとも思うんで、例えばそういった部分に予算をやって、民間で研究をして否定されつつあるものも再検討するということであれば」と言いかけると、空かさずこう断言した。

いや、すみません。民間で否定されているものまで再検討する気はありません。


他にも、

我々も無駄なことをしゃかりきになってやろうなんて気は全くありませんで、やはり効果がある、みなさんが望んでいるということだからこそやるのであって、誰も望んでないことをやろうとは思っていませんし、効果がないことに対してお金を使おうとか全く思っていませんので、そこはちょっと誤解のないようにしていただきたいと思います。


ならどうしてホメオパシーを冒頭部分で明確に否定しなかったのか、もしホメオパシーを知らないのならどうして知らないと正直に言わなかったのかと小一時間問い詰めたいところだが、効果がないものは再検討しないしお金も使わないという意思が明確にされたのは事実なので、この言葉を心にしっかりと刻んでおくことにしたい。

私のツイートに対する田辺氏のイミフな反論と、田辺氏の考える"医者・患者のあるべき姿"のおかしさ

私は櫻井議員が健康食品について言及したときに以下のようにツイートした。



これまでも効果があるモノに関しては製薬会社が臨床試験を主導して医薬品としての承認を得て経済活動が成り立っていた。櫻井議員は健康食品には医学的な効果があるものもあるといい、政府が研究を推進する必要があるかのように言うが、本当に健康食品に効果があるのなら製造会社は製薬会社と同じように医薬品としての承認を得ればいいのだ。健康食品は薬事法の規制のために効果を唱うことができず、それによって効果と安全性が疑わしいモノがさも効果があるかのように宣伝され消費者が騙されるということの一定の歯止めになっている現実がある。


荻上氏は番組中で番組でtwitterでの番組に関するつぶやきをピックアップして番組へのメールなどと同じように紹介していて、先程の私のつぶやきも紹介された。それに対して田辺氏は、

ただ医薬品には開発費というか臨床試験とかさまざまな制約があって、少なくとも50億とか100億とかいうようなコストがかかるわけですね。それに対して小さな企業が例えば開発費だとかいう場合はですね、そういう経費を嫌って健康食品の格好で売るということが一番多いわけです。ですから、健康食品の中にも効かないのもありますし、効くものもあるんですよね。で、昔は例えば漢方がそうですが植物の中の成分が今の西洋薬にもなっているわけですから、当然こういうものってのはこれからもあるわけですね。


これに対して荻上氏はホメオパシーが本当に効くのなら(利益の)フィードバックがあるはずなのにどうして企業はホメオパシーを研究しないのかとツッコミを入れた。すると田辺氏は、

まぁだからホメオパシーのレメディを例にとられるとそれはちょっと難しいわけです。例えば目覚しい効果でガンがすぐに治ったというようなものならですね、すごく開発費をかけても大丈夫なわけです。
しかし、健康食品の中に癌患者さんが飲んでいるという中でそれこそ本当に治るというもの、あるいは量をちょっと増やせば治るとかそのエッセンスを少し濃くすれば治るとかそういうようなものが出てくれば、その経費を見込んでも開発できるという可能性はあるんです。


ガンに対して目覚しい効果を挙げるのならすごい開発費をかけても大丈夫なのは事実かもしれないが、製薬会社は風邪薬のような軽微な疾患の治療薬の開発にも予算を投じてきたし、ガンの進行を遅らせる程度の抗がん剤であっても製品化している*15。ましてやホメオパシーは開発費は安い。もう製法と使用法が確立されているのだから。さらにただの砂糖玉で原価も安いから販売価格を低価格に抑えても利益を出せるといいことずくめだ。企業がホメオパシーのレメディを医薬品として販売しようとしない理由は、その効果を臨床試験で立証できないということ以外には見当たらない。


一方、番組にメールで寄せられた、治療したい人は(ホメオパシーなどの)治療してくれるという人のところに飛びつくのは当然だろうという患者サイドの心情について述べた意見に対しては、田辺氏は若干語気を強めつつこう述べた。

医療っていうのはですね、お医者さんであれ別の方であれ、患者さんにこれをやったら治しますというようなことで飛びつくのは古い時代なわけですよね。きちっと聞いて本人が納得して選ばないといけないわけです。宣伝されたからそれに乗っかってうまくいかなかったというのはおかしいわけです、本当は。今、癌の治療でもですよ、ちゃんとした病院であってもですね、治らないのはたくさんいるわけです。実際そこで治ってるなら、、、、(荻上氏:治ってるならこれだけ問題になっていないですからね。)そうなんです。ですから、治らないのはたくさんあります。そういうことを考えなきゃいけません。


宣伝を鵜呑みにしてホメオパシーに騙された奴が悪いってことだろうか。私はそう受け取った。そもそも効かないものを効くと誤った宣伝をしているホメオパシー推進者が悪いはずなのに、そこを非難せずになぜか患者批判を口にする田辺氏。それに、通常医療でもガンが治るとは限らないのは事実だが、通常医療はガンに対して全くの無力だというわけでもなければ、根拠もなしに有効だと宣伝しているわけではない*16。ガンに全く無力なホメオパシーと同列に並べること自体がナンセンスだ。

最後に田辺氏は医師の努めと健康食品について理解に苦しむ持論を展開する。

例えば、癌の治療をしている患者さんが、どういう健康食品を使っているかっていうことをやっぱりお医者さんは本来知らなければいけません。それでその中からですね、やっぱりこれは良いかもしれないというものを見つけて、それでそれをより多くの人が使えるようにですね、やはりやっていくというのが医師の努めだと思いますね。


天仙液の宣伝に協力しちゃう帯津医師みたいな医師が田辺氏考える医師のあるべき姿なんだろうか。

*1:荻上氏は悪名高き『食育冊子』をブログで批判的に紹介した人物でもある。http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20080924/p1

*2:http://www.cocoknots.co.jp/tanabe/?page_id=5

*3:http://www.dr-sakurai.jp/page0101.html

*4:http://www.tbsradio.jp/dig/2010/08/post-305.html

*5:元物質が一定以上残っている場合には薬理効果があったとしても不思議はない。ただし、それが、薄いほど効果が強いというハーネマン以来のホメオパシーの基本原理を満足させるものとは限らない。

*6:代表的な人はデイビット・アイクや太田龍氏。阿久根市長の竹原信一氏もその考えに共鳴している。http://www5.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=521727&log=20070718 レプティリアンでググれば無名な人も含めて同様の例もっと出てくるはずだ。

*7:ちゃんとしたお医者さんが荒唐無稽なホメオパシーに手を出すのは騙されているからではなく、患者を意図的に騙すためのツールとして使っているのだという主張なら同意しないわけではない。ただ、少なくとも私は、その医者のホメオパシーに対する理解がちゃんとしているというだけで、その医者が倫理的にちゃんとした医者だとは思わないが。

*8:http://www.asahi.com/health/feature/homeopathy.html

*9:しかし、海外のホメオパシー団体も予防接種拒否の問題を引き起こしていることを考えると、通常医療否定は特定の団体のみならずホメオパシー全体にそういう潜在的リスクがあると考えた方がいいと思う。

*10:http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20100806/1281117346

*11:http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20100709/1278678386

*12:例えば日本ホメオパシー振興会の言い訳。http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20100713/1279050533

*13:http://www.tensen-eki.com/topics02/visit.html

*14:荻上氏の質問に答える形でここでいう医療費削減とは国民と政府の両方の医療費削減だと述べている。

*15:そういう薬は無駄ではない。他の治療法と組み合わせればより効果的になるかもしれないし、たとえ根治しないにしても患者に残された時間を増やせる方法であるなら価値はある。

*16:少なとも制度上そういうことは許されない

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