放射能の影響でチョウに異常が生じたとする大瀧准教授、ホメオパシーセミナーでかく語りき
時事通信が報じた*1ように琉球大学の大瀧(松本)丈二准教授らのグループは、福島第一原発の事故に由来する放射性物質の影響によりチョウの一種ヤマトシジミに異常が生じているとする論文を発表した。論文はオープンアクセスの科学雑誌Scientific Reportsに掲載され、ウェブで誰でも閲覧できる状態になっている。以下がその論文へのリンクである。
論文の信憑性について
信憑性についての考察は下記に詳しい。
また、Twitterでも以下のような議論がなされている。
過去に行われた青森県のヤマトシジミに関する研究との関係について
大瀧氏らのグループは、過去に青森県のヤマトシジミの研究で低温により遺伝性の変異が生じることを報告していた*2。低温によっても変異は生じるのだから、福島のチョウの変異の原因が放射性物質だとは言い切れないではないか、というのは至極当然のツッコミである。また、大瀧氏らが今回の論文で主に福島以南のデータを採用し、青森等の福島以北のデータをほとんど用いていないことも疑念の的になっている。例えば先述の『むしブロ+』の記事では、このデータの採り方に関して以下のような見解が示されている。
今回の論文では、ヤマトシジミの翅などの形質を福島周辺の個体群とそれよりも南に棲む個体群とで比較しており、福島個体群の奇形発生率の高さを根拠に放射線の影響を訴えている。奇形発生率と環境放射線量が相関しているかのように見せるために狙って実験計画を組んだ、確信犯だと言われても仕方のない研究内容である。
(引用元: http://d.hatena.ne.jp/horikawad/20120813/1344814974 強調は引用者による。)
原発から遠いにも関わらず変異を生じている北部のヤマトシジミのデータを不都合なものとして作為的に調査対象に含めなかったのか、そうすべき合理的理由があったのか、あるいは深い考えもなく主に福島以南だけで論文をまとめてしまったのかは分からない。しかし、後述の大瀧氏の科学者としての不誠実な発言を見ると、大瀧氏の論文のデータの偏り(のように見えるもの)を好意的に解釈することは私にはできそうもない。
ただし、一部で大瀧氏が自信自身の過去の研究を無視しているとする向きがあるが、それは誤解なのでそのことは明確にしておこう。
This outbreak of abnormal phenotypes in the Fukushima area is very different from the outbreak of wing colour-pattern changes previously observed at the northern range margins of this species, i.e., the Fukaura area(27), which is located approximately 400 km northwest of the Fukushima Dai-ichi NPP. The Fukaura populations at the time of the outbreak were composed of temperature-shock types that exhibit distinct wing colour-pattern modifications but no other wing modifications or aberrations. Moreover, to the best of our knowledge, no malformations of appendages and other parts have been detected(27), (41), (42), (43).
(引用元: http://www.nature.com/srep/2012/120809/srep00570/full/srep00570.html)
27番の引用文献は、先述の大瀧氏が青森のヤマトシジミを対象にして行った研究である。大滝氏らはその論文を引用した上で、今回彼らが放射性物質の影響とみなしている異常と青森で観察された異常とは"very different"だと述べている。とはいえ、本論文の中で同じ基準で定量的に両者を比較したデータは示されておらず、この主張に説得力がないのも事実だ。
結局、大瀧氏の論文には拭い去れない疑問点が残されている。
大瀧氏とホメオパシーの関係について
すでに指摘されているように大瀧氏とホメオパシーとの間には、ただならぬ関係がある。具体的に言えば、大瀧氏は少なくともホメオパシーの宣伝者であり、(そう装っているのでなければ)ホメオパシー信奉者であるということだ。
例えば、すでに何度か当ブログで指摘しているように、日本ホメオパシー振興会のウェブサイトで大瀧氏はホメオパシーと予防接種について以下のように語っている。
一言で言うと、インフルエンザ・ワクチンだけではありませんが、ワクチン接種というのは、百害あって一利なしということになるでしょう。統計的にも効果がないことが証明されています。
(引用元: http://nihon-homeopathy.net/archives/yobousessyu_1.htm 強調は引用者による。)
また、予防接種が普及した時期と都市の衛生環境が改善された時期が一致すると主張し、予防接種の無効性を説いた上で
これに対して、ホメオパシーは歴史的に感染症に大きな効果を発揮してきた歴史があります。副作用の心配もほとんどありませんし、副反応とか、子ども自体の成長を妨げることもありません。予防接種は効くかどうかすら怪しいですし、やる必要もありません。それではホメオパシーでは何ができるのか、については永松先生にお話していただきます。
(引用元: http://nihon-homeopathy.net/archives/yobousessyu_1.htm 強調は引用者による。)
とホメオパシーを薦めつつワクチン忌避に誘導している。
大瀧氏がホメオパシーのセミナーで語ったこと
下記はホメオパシースクールの一つ、ハーネマンアカデミーオブホメオパシーのウェブサーバーに残された2年前のセミナーの映像である。講演者は同スクールの学長の永松昌泰氏と大滝氏で、テーマは「ホメオパシーの科学性〜その作用とメカニズム〜」だ。
http://hahnemann.jp/seminar/100719_osk_matsu/flv/20100719_4-200k-wt.flveminar/100719_osk_matsu/flv/20100719_4-200k-wt.flvhttp://hahnemann.jp/seminar/100719_osk_matsu/flv/20100719_4-200k-wt.flv
映像の冒頭からしばらくは永松氏がホメオパシーに対する統計学的批判についての言い訳を長々と述べている。その言い訳を受けて、大瀧氏は統計について以下のように語っている。
そうですね、あの、さきほどの永松先生の話を聞いてて一つ思ったことはですね、あの、統計の話。あの、統計ってのは非常にね、あの、それこそトリックなんです。で、永松先生おっしゃったようにね、統計って言う間はいかにも統計で処理されていると非常にそれが正しくて、統計的に否定されるとそれが嘘だ、そういう感じのね、印象をどうしても受けてしまう。
(引用元: http://hahnemann.jp/seminar/100719_osk_matsu/flv/20100719_4-200k-wt.flveminar/100719_osk_matsu/flv/20100719_4-200k-wt.flv http://hahnemann.jp/seminar/100719_osk_matsu/flv/20100719_4-200k-wt.flv 22:35〜 強調は引用者による)
(中略)
特に生物学の場合は、どういう視点で、もうなんか何度も言ってきたけど、繰り返してるようになりますけど、どういう視点で何を測るかというのがちょっと違うと統計の結果が本当に違ってくるんですよ、がらっと。だから極端なことを言うと出したい統計っていうのは出せるし、出したくないものは出せない。でもそれはサイエンスとしてずるをしているわけではなくて、それが科学なんです。だから、我々サイエンティストはね、ある意味統計が必要だというのは認めているんですけど、必ずしも統計に固執しないんですよ、実は。それはどういうことかというとね、あの、統計っていうのは我々、まぁ、あの私の先生が昔言ってたことは、統計はお化粧みたいなもの、で、その、自分が出た結果に最終的に何かいかにももっともらしく正当化するのが統計。正当化するっていうのとでっち上げるのとはまた違いますからね。それは、あの、適切な普通の意味でのサイエンス。でも、それはお化粧にすぎなくって、もしその統計テストが、違いがない、有意でないというふうにね、否定したとしてもね、その研究者がいやこれは絶対違うんだと、なにか違いがあるんだと思えば、やっぱり違うんですよね。ただ、その統計テストに乗ってこないだけの話なんです。だから、統計っていうのは飽くまでも、その、なんて言うかな、その研究者の主観というか、感性を反映させるために使うもの、実際そういうふうにしか使えない、統計は。
(http://hahnemann.jp/seminar/100719_osk_matsu/flv/20100719_4-200k-wt.flveminar/100719_osk_matsu/flv/20100719_4-200k-wt.flv http://hahnemann.jp/seminar/100719_osk_matsu/flv/20100719_4-200k-wt.flv 24:32〜 強調は引用者による)
統計に関してこのような見解をもつ大瀧氏が論文で述べる、統計学に裏付けられているはずの主張は信用に値するのだろうか。もちろん、少なくとも一般論としては論文はその内容によってのみ審査・評価されるべきである。また、今回の大瀧氏の論文にはホメオパシーのホの字も出てこない。しかしそうだとしても、大瀧氏は自身の過去の発言に責任を持つべきだし、大瀧氏に対する科学者としての評価と信頼が過去の言行に左右されるのは当然のことである。
そして、この種の話が当てはまるのは何も大瀧氏に限ったことではない。ホメオパシーの効果を肯定することは統計学とも物理学とも生物学とも相容れないことがもはや明白になった今日において、ホメオパシーの効果を肯定した上で科学的に正当かつ一貫した立場をとれる人がどこにいるだろうか。
食養関係者が統合医療大学院大学開設を画策→杜撰すぎて門前払いに
各紙が報じている通り*1、「統合医療大学院大学」なる大学の開設申請が、文部科学相の諮問機関によって「不可」とされた。書類審査の段階で、"門前払い"された格好だ。
同大は、西洋医学と漢方などの補完代替医療を組み合わせた「統合医療」を担う人材育成を目的としていたが、同審議会は、教育課程が体系的に編成されていない点などを指摘。通常、審査は秋まで続けるが、09年度に導入した「早期不可」制度を初適用し、書類審査のみで打ち切った。
(引用元: 読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120618-OYT1T00955.htm 強調は引用者による。)
大学設置を画策していたのは誰か?
文科省のwebサイトにある資料*2 によると、申請者は「学校法人統合医療学院設立準備委員会」とある。委員会のメンバー等の詳細は不明だが、朝日新聞によれば医師の渡辺昌氏が「学長就任予定者」らしい。
「学長就任予定者」で、元国立がんセンター研究所疫学部長の渡辺昌医師(71)は「増え続ける医療費の問題を解決し、日本の将来を切り開くために統合医療学は必要。準備し直して来年も申請する」と話している。
(引用元: 朝日新聞 http://www.asahi.com/national/update/0618/TKY201206180412.html 強調は引用者による。 )
渡辺氏にはいくつかの肩書きがあるようたが、興味深いのは日本綜合医学会会長*3を務めているということだ。公式ウェブサイトによれば、この団体は食養に起源をもつらしい*4。
日本綜合医学会は、明治の食医・石塚左玄が創始した「食養」の思想を継承するため、1954年に東京大学名誉教授・二木謙三博士(文化勲章受章者)を初代会長として設立されました。
(引用元: http://www.npo-nsi.com/modules/about/index.php?content_id=2 強調は引用者による。)
石塚左玄は明治時代の軍医で、江戸時代から続く伝統的食事法に独自の解釈を加え、「食養」と呼ばれる"健康法"を考案し広めた人物だ。その活動を引き継いだのが二木謙三であり、同様に石塚を師と仰ぎつつも二木を含む医師を中心とするグループと袂を分かったのが桜沢如一に端を発する「マクロビオティック」である。この辺りは経緯の詳細は、当ブログのエントリ『やる夫で学ぶマクロビの歴史と桜沢如一の生涯』を参照されたい。
渡辺氏は日本綜合医学会の設立経緯から考えれば二木氏の系譜に属するのだろうが、桜沢如一氏の流れを組む日本CI協会の雑誌にも記事を寄せている。渡辺氏はその記事の中で大学院の構想を述べた他、二木氏と桜沢氏双方の教えを紹介し両者の肩を持つような見解を示している*5。
また、渡邉氏自身は下記のような健康本の著者でもある。
- 作者: 渡辺昌
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どうして門前払いされたのか?
その判断理由は、その法的根拠も含めて、文科省のウェブサイトで公開されている*6。ここではその内容を引用する形でその論点を紹介する。
「統合医療学」が学問としての体をなしていない。
本大学が扱う学問分野として掲げられている「統合医療学」については、大学としてその定義や概念を明確に示す必要があるにもかかわらず、申請書類の中で「定義や学理は未完成の状態」、「現代科学では説明のできない部分があり、効果についても現段階では臨床的に有効とされるものの科学的立証ができない要素も含んでいる」とした上で、大学設立の主目的として「『統合医療学』の確立」、「統合医療の効果を実証するエビデンスづくり」を上げている。
加えて、「統合医療学」を掲げているにもかかわらず伝統医療や補完代替医療に関する内容を個々の科目ごとに教授するだけの内容となっている授業科目がほとんどであり、各授業科目間の関連性が不明確であるなど、教育課程が体系的に編成されているとは言いがたい。
(引用元: http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/06/18/1322181_1.pdf 強調は引用者による。)
定義からして不明で、科学的根拠も不明確、中身がただの寄集めという得体のしれない学問『統合医療学』を教える大学を作るから認可してくれと言われても無理な相談だ。この指摘は、至極当然だし、統合医療の本質的問題を突いたクリティカル・ヒットと言えそうだ。この件に限らず、「科学的には"まだ"証明できないけどとにかく効く」とされる怪しげな自称"治療法"が、大抵の場合、十分に相互に批判もせずに群れているというのが、今日の統合医療の実態である。
安全性の問題
加えて、「アーユルベーダ実習」では3日間の断食を体験し、鍼灸実習では相互に灸のやり方を学ぶ内容となっているが、実習を受ける学生の安全性の確保に十分な配慮がなされているとは認められない。
(引用元: http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/06/18/1322181_1.pdf 強調は引用者による。)
これも統合医療の問題についての本質的な指摘と言えるだろう。怪しげな自称"医療"で、健康被害にあったという話は枚挙に暇がない。
単純に設備がショボすぎる
本大学は、東京都新宿区に借用により3階建ての後者を設ける構想であるが、施設が狭隘であることから、学長室は会議室を、図書館は多目的交流室を兼ねる計画となっている。また、大学設置基準上必置である医務室、学生自習室、学生控室は図面上示されていない。
(引用元: http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/06/18/1322181_1.pdf 強調は引用者による。)
これは統合医療云々以前の問題だ。重要な施設が兼用になるのも問題だが、大学設置基準で必置さとれているものが図面にないというのは論外である。渡辺氏は来年も申請するつもりのようだが、それ以前にこのクオリティで今年提出に踏み切ったことを反省すべきではないか。
大学院なのに大卒でなくても入学できる抜け穴がたくさん
学校教育法第102条、及び学校教育法施行規則第155条で規定される大学院の入学資格は、大学を卒業した者又はこれと同等以上の学力がある者とすることを前提としている。しかし、本大学への入学資格に関し、申請書類においては「(1)医師、看護師、薬剤師、鍼灸師、按摩師、理学療法士など、医療職の資格保持者、(2)管理栄養士、食養生系各種学校の師範相当者、(3)法人、企業、行政などから推薦されている社会人、(4)学士相当の実力を有し、22歳以上で教務委員会の認めた者」と説明されている。この中には、大学の卒業を必ずしも要件としない医療職の資格もあることから、当該資格保持者であることをもって直ちに入学資格があるとは認められず、また、食養生系各種学校の師範相当者や法人等から推薦されている社会人についても、対象者の範囲について法令の趣旨に明確に添った条件付けがなされていない。
(引用元: http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/06/18/1322181_1.pdf 強調は引用者による。)
この国の教育制度全体を預かる文科省としては、この大学院だけを特別扱いすることはできないだろうし、法令・規則に則って非学士の入学に厳しい制限が設定されるのは妥当だろう。逆に、非学士にも門戸を広げたいのなら大学院にこだわる必要はないはずだ。それに、食養生系各種学校の師範相当者という文言を入れたのは露骨すぎるのではないか。食養に関連の深い団体の会長を務める渡辺氏が学長就任予定者である以上、身内優遇と取られても仕方ないだろう。
雑感
書類審査の段階でこれだけの不備があり、しかも明らかに設置基準を満たしていないとなれば、門前払いされるのは当然である。
ちなみに、冒頭で引用した日経新聞の記事によれば、この門前払いの制度は今回が初適用らしい。もしこの制度がなければ、この大学の審査に、設置が有望な他の大学と同様のコストが掛かっていたことだろう。
*1:http://www.asahi.com/national/update/0618/TKY201206180412.html http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1801J_Y2A610C1CR8000/ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120618/k10015913481000.html
*2:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/06/18/1322181_1.pdf
*3:この団体は、[http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20100815/:title=厚労省や民主党に関わり]をもち[http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20100828/:title=ホメオパシーを擁護]していた日本統合医療学会とは別団体である。
*4:トップページに食養の解説へのリンクがあることも、この団体がいまなお食養を重視していることを伺わせる。
*5:http://www.ci-kyokai.jp/tokusyu1204.html
*6:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/06/18/1322181_1.pdf
『バイオパンク―DIY科学者たちのDNAハック!』を読んで
本書は、近年アメリカで勃興しつつある、新しいタイプの"分子生物学者"たちの活動を描いた本である。ただし、"分子生物学者"という表現は正確でないかもしれない。というのは、彼(女)らは「学者」と聞いて一般的にイメージされるような大学の教員でもなければ、企業で研究開発に従事する研究者でもない*1。キッチンで培養した細胞で癌の治療法を研究したり、スーパーで買ったヨーグルトで毒物検査キットを開発したりするのが彼らのスタイルだ。本書によれば、彼らのような既存の体制に属さない新しいタイプのバイオ研究者(の活動)は『バイオパンク』と呼ぶらしい。 *2。
- 作者: マーカス・ウォールセン,矢野真千子
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コンピュータ業界のアナロジーとしての"バイオハッカー"
著者は、本書の全体を通して、コンピュータ業界のアナロジーでバイオパンクを解釈しようとしている。企業に属さないハッカーたちが作り上げたオープンソース*3のLinuxが、マイクロソフトが作り上げたクローズドソースのWindowsに対抗しうる存在になったように、"バイオハッカー"たちも大学や製薬会社に対抗しうるといった具合に。確かにアップルの創業者スティーブ・ウォズニアックがガレージでの製造からスタートしたことを考えれば、誰かがキッチンで始めたバイオハックが将来思いもかけない様な発展を遂げるという想像も全くの絵空事とは言い切れない。機械工学や電子工学にはない困難さが遺伝子工学にあることを彼らは理解しているようだが、それ自体を研究課題として乗り越えようと奮闘している様子は頼もしくも感じる。
バイオハックへの逆風と規制
合成生物学に反対する ある市民団体のメンバーは、ガレージで未知の生命体が生み出されることに対する懸念を著者の取材に対して語っている。また、自宅でバイオハックに取り組んでいた芸術家が、FBIにテロの嫌疑を掛けられて起訴されるという事件が現実に起きているそうだ。これらの逆風に対してはバイオハックを擁護する立場から、それなりの反論が提示されている。特に、後者の事件に関して言えば悪名高き"愛国者法"による起訴であり、少なくとも本書を読む限りでは、私自身も理不尽さを感じた。
とはいえ、バイオハックが生み出すのが常に利益だけだという保証はどこにもないし、不利益が無視できるほど小さいという確証もないのも事実だ*4。実際、日本は国際条約*5に基づき、国内法によって遺伝子組換え実験を規制している。もっといえば、アメリカ以外のほとんどの国がこの条約に批准しているのだ。本書に登場するバイオハッカーの活動場所がアメリカに偏っている背景には*6、アメリカ以外ではバイオハッカーが合法的に活動すること自体が難しいという事情がありそうだ。
細かいツッコミ
メンデルはアマチュア?
著者は資産家だったチャールズ・ダーウィンや町の外科医*7に過ぎなかったエドワード・ジェンナーをアマチュア科学者として紹介している。そこまでは異存はない。ただ、後に"遺伝学の父"と呼ばれることになった修道士グレゴール・メンデルを「アマチュア生物学者」と評したのはどうなのだろう。修道院のあったブルノが当時の学問の中心から程遠い場所にあったのは事実だろう。しかし、著者自身も認めている通り彼の所属していた修道会では学究が推奨されていたし*8、メンデル自身の研究も修道院の敷地内でなされた。その意味では、遺伝の研究が修道士の業務の一環としてなされたと見るのは自然なことだし、だとすれば彼をアマチュアと呼ぶのは強引の感が否めない。
*1:中にはバイオハッカーとしてスタートして会社を起こした人もいるようだが。
*2:http://maradydd.livejournal.com/496085.html) ((http://en.wikipedia.org/wiki/Biopunk
*3:実際、設計図を公開したPCR機 (サーマル・サイクラー)の開発を進めるバイオハッカーがいるそうだ。
*4:これは理想的には個別に判断されるべきだし、中には考慮に足る不利益が想定されないようなケースもあるかもしれない。
*6:単に本書の原著がアメリカで出版されたためというだけではなく
*7:当時の外科医は地位が低く、その育成は大学ではなく徒弟制度の下でなされていたという。
*8:彼の修道院に限らず、当時の教会はまだ領地を有して領民から税をとっていたし、農学を含むテクノロジーは古来より修道院で培われていた。メンデルの庭は、現代日本で言えば地方自治体の農業試験場に近いものと見なすべきなのではないだろうか。
ホメオパシー的チョコレート
来るバレンタインデーに向けて当ブログのチョーイケテル男性読者の諸君は、今頃チョコレート輸送用トラックの手配に奔走しておられることだろう。しかし、心配すべきは輸送だけではない。チョコレートには、「白い魔薬」とも言われ化学式(C6H12O5)2で表される砂糖が大量に含まれているのだ。
はびこる極端な砂糖有害論
言うまでもないことだが、砂糖を含む食品は甘くて美味しいのでついつい摂り過ぎてしまうのは事実だ。そして、砂糖の取り過ぎは体によくないこともよく知られた事実である。しかし、食養関係者・マクロビオティック関係者の砂糖有害論は度を越している。そうした砂糖有害論は荻上式BLOGの記事『ちょwwww食育冊子wwwww』や当ブログの記事『謎の化学物質(C6H12O5)2の恐怖』に詳しいのだが、理屈はどうあれ彼(女)ら(の一部)は砂糖を「魔薬」と呼んでしまうほど砂糖を敵視しているので、当然砂糖を摂取することを避けようとする。彼らの砂糖に対する態度は明らかにアレなわけだが、有害だと信じるものを食べないようにするというのは後述の斜め上を行くホメオパシー的砂糖対策と比べれば、合理的にすら見えてくる。
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ホメオパシー的砂糖有害論
ご存知の通りホメオパシーとは、レメディという砂糖玉を薬代わりに用いるニセ医療である。正確に言うと、レメディは何かしらの物質を極端に薄めてできる液を砂糖玉に染みこませて作るのだが、薄め方が尋常ではない*1ので事実上染みこませているのはただの水であり、出来上がったレメディはその物質が何であれ砂糖玉そのものとなる。砂糖玉を使った「治療法」と砂糖有害論は真っ向から衝突しそうに思えるが、実際そうでもない。例えば、ホメオパシージャパンのサイトにはこんな記述がある。
さらに甘味料についても、農薬を使って栽培され、漂白され精製されてできた砂糖の害を知ることが大事だと私たちは考えています。さとう大根を原料にした粗糖や黒糖、麦芽糖などからも糖分をとることはできるのです。「ほめあめ」は白砂糖でなく麦芽糖を使い、昔ながらの製法にこだわった一品です。
(引用元: http://www.homoeopathy.co.jp/company/respect_quality_05.html)
どうやら同じ砂糖でも精製された砂糖(白砂糖)は駄目でそうでないのはいいという考えが背後にあるようだ*2。テンサイ糖から作られているというレメディもそれなりに白く見えるが、彼らがいう白砂糖ほどは精製がされていないのかもしれない。精製されていようがいまいが砂糖は砂糖であり、白砂糖の成分は精製が粗い砂糖にも含まれているわけで、白砂糖だけを有害とする考えに分があるとは思えないわけだが、この際、そのことは不問に付そう。問題はホメオパシーが(白)砂糖の害にどう対処するかということだ。
ホメオパシー的チョコレートの笑撃の砂糖対策
昨年のバレンタインデーの直前に行われたホメオパシー医学協会会長の由井寅子氏による『愛じゃ! 人生をかけて人を愛するのじゃ!』という強烈なタイトルを付けられた講演会に面白い体験談がある。興味深いことに、この講演会では砂糖たっぷりの「特別販売のチョコレート」に関する案内があったらしいのだ。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \ /⌒ヽ / '''''' '''''' ヽ | / | (●), 、(●) | | | | ,,ノ(、_, )ヽ、,, | | | | `-=ニ=- ' | | | ! `ニニ´ .! 愛じゃ、愛の仕業じゃ! | / \ _______ / | | ////W\ヽヽヽヽ\ | | ////WWWヽヽヽヽヽヽヽ | | ////WWWWヽヽヽヽヽヽヽ E⊂////WWWWWヽヽヽヽヽヽヽ E//// ヽヽヽヽヽヽヽ | | //WWWWWWWヽヽヽヽヽヽヽ (※AAはイメージです。実際のホメオパシー講演会とは関係ありません。)
2/13(土)「愛じゃ! 人生をかけて人を愛するのじゃ!」が行われました。
(中略)
●本日はとても深い話をありがとうございました。とらこ先生の包み隠さず自分の事を話してくださる姿にとてもとても愛を感じました。今日は誕生日でして本当に素敵なことばのプレゼントをいただきました。あたたかいエネルギーをいただきました。特別販売のチョコレートも食べるのがとても楽しみです。「お砂糖は入ってるけどサッカライナムのレメディー入りだから大丈夫」とのことでなんて素敵なチョコレート何だろうと感動しました。ありがとうございました。
(中略)
●いつもパワフルで強い人だと思っていた由井先生も普通に子育てに悩む母親なんだと思ったら肩の力が抜けました。レメディーをとるだけで行動が伴わなければ意味が無い事も実感いたしました。レメディーに依存する事、レメディーを便利に利用する事(子育てをレメディーに任せること)に気を付けて、自分が変わる事が大切だと思いました。最近甘いものが好きな人が増えているのも、愛情不足の世の中を象徴しているなぁと思いました。周りにも砂糖のとり過ぎか、だるそうな人が増えている気がします。
(引用元: http://www.homoeopathy.ac/10seminars_about/others/20100213_aijya.php 強調は引用者による)
砂糖対策のレメディ入りのチョコレートで安心です。本当にありがとうございました。
しかも、驚くべきことに、このサッカライナムというレメディは、"お砂糖のレメディ"らしい。
以前から、甘い物のとりすぎの傾向があったのでやめようと思って、お砂糖のレメディ(サッカライナム)をとってみました。以前、キャンディセットをとって、あまり効果がなかったので期待はしてなかったのですが、今回は大成功でした。甘いお菓子を見ても、ほとんど心をかき乱されることがなくなり、おまけに早食いの大食いだったのが、たくさん食べれなくなりました。
(引用元: http://www.rah-uk.com/case/wforum.cgi?mode=allread&no=2994 強調は引用者による)
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ (.___,,,... -ァァフ| あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ! |i i| }! }} //| |l、{ j} /,,ィ//| 『砂糖は有害だと言われたのに i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ 砂糖のレメディ入りのチョコを勧められた』 |リ u' } ,ノ _,!V,ハ | /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが /' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも何をされたのかわからなかった… ,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉 |/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった… // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ 食養だとかマクロビオティックだとか / // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ } _/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ… ※AAはイメージです。実際の体験談とは関係ありません。
ホメオパシーでは、"毒をもって毒を制す"に似た原理、類似の法則*3が存在すると信じられている。この場合には、"砂糖対策には砂糖を"ということだ。
類似の法則から行くとお砂糖たっぷりのチョコレートに「サッカライナム」は、まさにホメオパシーの理論通り、正攻法のレメディということになる。しかし、砂糖水を薄めまくって砂糖玉に染みこませる不毛な作業に従事しているレメディ職人のことを考えると、私にはこのチョコレートを口から吹き出さずに完食する自信がない。
*1:通常、10倍に薄める作業を30回繰り返して作られるので、海に目薬を一滴垂らして完全にかき混ぜたのよりも薄い。計算上、そこに含まれる物質の量は平均一分子以下となるので、文字通りの"ただの水"になる。
*2:これは食養・マクロビオティックにも見られる思想である。食物はまるごとの状態で陰と陽のバランスが保たれた状態にあり、精製したものはパランスが崩れているとする「一物全体」と呼ばれる考えがあるようだ。http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20110810/p1
*3:正確に言うと、ホメオパシーでは病気と類似の症状を引き起こす物質がその病気に効くとするのが出発点だ。例えば、マラリアにはマラリアの病原体ではなくマラリアと似た症状を引き起こす薬が有効だとされた。類似ではなく全く同種のものが治療に用いられるときにはホメオパシーと区別してアイソパシーという用語が用いられる場合もある。
楽天・星野監督が『ウイルスブロッカー』なる怪しい商品の宣伝に一役買っている件について
プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスの星野仙一監督が『ウイルスブロッカー』なる商品*1の宣伝に一役買っているようだ。スポニチは『星野監督 インフル対策の秘密兵器を大量注文』という見出しで以下のように報じている。
「これでウイルスがなくなるらしいぞ。ワシの友達が心配して送ってくれたんや」。新兵器の正体は携帯式の空間殺菌剤「ウイルスブロッカー」だ。二酸化塩素を利用した新製品で、周囲1立方メートルに効果があるという。
(中略)
▽ウイルスブロッカー ウイルス、細菌のタンパク質を酸化させる作用があるという二酸化塩素を使用した殺菌、消臭剤。昨年12月に中小企業からヒット商品を募る「東京ビジネス・サミット」で大賞を受賞した。開発したエンブロイ株式会社(神奈川県平塚市)の和気清弘所長(72)は星野監督と同じ明大OB。携帯型は3個で2500円前後。スプレーや業務用の大型機器もある。
(引用元: http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2012/02/09/kiji/K20120209002595810.html)
ご丁寧に、商品名のみならず開発会社の社名から価格、製品のバリエーションについても明記されている。スポニチの記者の意図は分からないが、業者にとっては至れり尽くせりの記事と言えそうだ。私が調べた範囲では同様の記事が、少なくともスポーツ報知、日刊スポーツ、デイリースポーツ紙にも掲載されている。すべての記事に共通することは、「ウイルスブロッカー」という商品名が書かれていることと、この商品の製造が東北の被災地で行われており被災者支援につながるという話だ。多くの新聞社が記事にした背景に「被災者支援」というキーワードの存在があることは想像に難くないが、それにしても宣伝臭い記事である*2。
業者の方も各紙の報道(?)を最大限に利用し、ウェブサイトに以下のように書いている。
(引用元: http://www.touhoku.in/vb/)
この商品は何が問題なのか
この商品を含む「二酸化塩素による除菌をうたった商品」にどんな問題があるかは、国民生活センターの発表『二酸化塩素による除菌をうたった商品−部屋等で使う据置タイプについて−』に詳しい。ただ、星野監督の広告塔としての抜群の発信力のおかげでこの「ウイルスブロッカー」なる商品が注目されているだろうから、本エントリーでは、それにかこつけ、「ウイルスブロッカー」を例にして、その問題点を指摘したいと思う。
予防効果はあるのか?
おそらく星野監督はインフルエンザの予防効果があると思ったからこそ、自身が「ウイルスブロッカー」を首に下げ、球団関係者や記者たちに勧めるに至ったのだろう*3。実際、業者のウェブサイトには「ウイルスの不活性化」「即効性」等の言葉が使われいるし、消費者に予防効果を期待させるに十分な広告表示が行われている。それは「ウイルスブロッカー」という直球勝負の商品名からも明らかだ。ウイルスのみならず、花粉や菌に対する有効性をうかがわせる表現も見受けられる。こうした宣伝は正当なものと言えるのだろうか?
業者が商品の主成分として挙げているのは二酸化塩素という物質だ。余談ながら、業者のウェブサイトには
(引用元: http://www.touhoku.in/vb/)
とSlO2なる謎の記号が書かれているが、おそらく二酸化塩素の分子式ClO2の誤りだろう。
この二酸化塩素は、早い話がある種の塩素系漂白剤である。理屈から言えば、除菌やウイルスを不活性化する作用がないとまでは言えない。では、何が問題なのだろうか。この業者がウェブサイトに載せているミカンの実験を例に考えてみよう。
(引用元: http://www.touhoku.in/vb/)
二酸化塩素なしのミカンはすぐに痛みカビてしまうのに対して、二酸化塩素を用いた場合には痛みが遅くカビも最後まで生えなかったという実験結果だ。
この実験は実際の効果を考える上で重要な示唆を与えてくれる。一つ目は濃度の問題だ。親切で正直なことに、ミカンを「密封容器」に入れたことが明記されている。二酸化塩素は空気中を拡散によって広がっていくわけで、空気中での濃度は空間の広さと気密性に大きく依存すると考えられる。
ミカンの日持ちのとインフルエンザの予防とではだいぶ話は違うが、それでも濃度の問題を考えれば、二酸化塩素という成分自体に除菌・消毒効果があったとしても、その成分が広い空間に拡散し薄まってしまう「ウイルスブロッカー」で同様の効果を発揮できる保証はないことが容易に理解できる。実際、この業者はウェブサイトで研究機関による実験結果として、ウイルスや病原菌に対する不活性化効果を示しているが、これらの結果も濃度等の実験条件と実際の使用条件とが一致する保証がない以上、商品そのものの効果を証明するものには成り得ないわけだ。
もう一つの問題は、標本数の問題だ。ニセ科学の問題に関心をもつ人の中には、「ばかやろう」と書いた紙を貼った瓶に入れたご飯は腐敗し、「ありがとう」と書いた紙を貼った瓶に入れたご飯はそうはならなかった*4、というようなオカルトめいた話を聞いたことがある人も多いだろう。ミカンの実験は、ある意味では、この実験とよく似ている*5。
二つの実験に共通して言えることとして、腐敗やカビはある程度ランダムな要素に左右される現象であり、たまたま付着していた菌や胞子が少なかった等の理由で腐敗の進行速度には差が出る可能性があることだ。そういう偶然のいたずらに騙されて誤った結論を下さないために、同様の実験を複数行なってその結果を総合し統計処理をする必要がある。そういう意味では、この実験結果だけでは、ミカンの鮮度保持効果が示されたと言うことすらできない。
安全性について
業者のサイトでは「もちろん人体への影響や副作用も一切ありません」と断言されているが本当だろうか。国民生活センターの資料には以下のように書かれている。
(2)二酸化塩素の作業環境基準等
常温常圧下での二酸化塩素は、不安定で反応性の高いガスであるため、ガス状の二酸化塩素を取り扱った毒性試験は現状ではほとんどみられないが、ACGIH が定める二酸化塩素の作業環境基準は、塩素よりも小さな値となっており、また、ラットの吸入による急性毒性を表す半数致死濃度(LC50)も塩素より低く、二酸化塩素の方が塩素よりも毒性が強いと考えられる。
(引用元: http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20101111_1.pdf)
というわけで、二酸化塩素の人体に対する影響は不明確のようだが、ラットに対しては塩素ガスよりも高い毒性を示すことが分かっているらしい。ヒトに対する毒性がどの程度であれ*6、それが不明確である以上「もちろん人体への影響や副作用も一切ありません」などと断言するのは無責任そのものだし、この商品によって生じる濃度の二酸化塩素が十分に安全なのかは検証されるべき事項と言えそうだ。
薬事法的に大丈夫か?
当たり前のことだが、医薬品としての承認を受けていないもの、例えばいわゆる"健康食品"に関して「インフルエンザに効きます」等の治療効果を広告・宣伝して販売するのは薬事法違反である。同様にして、医薬品としての承認を受けていないにも関わらず、予防効果を標榜して商品を販売することも違反である*7。そして、「ウイルスブロッカー」が医薬品だとは業者のウェブサイトにはどこにも書かれていない一方で、先述のようにインフルエンザ等に対する予防効果を期待させるに十分な文言がふんだんに使われている。
もしかしたら、この業者に消費者を騙す気など毛頭なく、本気でこの商品にインフルエンザ予防効果があると信じているのかもしれない。それに私もこの商品に100%効果がないと断言できるわけではない。
しかし、もし本当に予防効果があるのだとしたら、ワクチンを開発する製薬会社がするのと同じように、まずはきちんとした手続き*8を踏んて正々堂々と当局から医薬品としての承認を得るべきだ。現状のように、「効果が否定出来ない」程度のことしか言えないような段階で、必要な手続きをすっ飛ばしていきなりビジネスを始めるのは道理が通らない。
*1:実はこの商品、少し前に話題になっていた。http://togetter.com/li/231688
*2:記者の意図はどうあれ宣伝に貢献していることは間違いない。流行りの「ステマ」かどうかはまた別の話。
*3:純粋な宣伝目的でこの役を買ってでたのでなければの話。
*4:http://www.ne.jp/asahi/aquarius/messenger/books_002.htm しかし、このページに記載された写真を見ると「ありがとう」のご飯も原形をとどめているわけではなさそうだ。「発酵」とされているが、これこそまさに"ものは言いよう"である。
*5:二酸化塩素は十分に高濃度なら効果があってもおかしくないので、それはこのオカルト実験とは決定的に異なる。ここで言いたいことは、十分に効果が発揮されない濃度でもこうした実験結果が出てしまうことはありうるということだ。
*6:先述の国民生活センターに書かれている通り、米国産業衛生専門家会議が定めた労働者に関する基準では、短時間暴露限界値として0.3 ppmという数値が挙げられている。一方、業者のウェブサイトにある病原菌に関する試験結果のグラフでは、不鮮明ながら0.53 ppm, 5.3 ppmの二点の濃度で試験が実施されているように見える。短時間暴露限界値は労働者の周辺の空気中の濃度の話、「二酸化塩素ガス水溶液濃度」はおそらく病原菌の周辺の液体中の濃度の話なので単純比較はできないことには留意する必要があるだろう。とはいえ、ウイルスブロッカーの使用方法を考えれば、つまり中身を直接水に溶かすという使用方法でなければ、空気中濃度を上回る濃度の水溶液が生じる状況は想像しにくく、実験での濃度条件が決して低い設定ではないことが伺える。もし十分な殺菌効果を生むために人体に有害なほど高濃度の空気を必要とするとしたら、この製品に実用性があるとは思えない。
*7:第2条2項で医薬品は「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、」と定義され、第68条で承認前の医薬品等の広告が禁止されている。
*8:具体的には臨床試験
ホメオパシージャパンがJCBに加盟店契約解除を通告された件
すでにいくつかのブログで指摘されているように*1 *2 *3、ホメオパシージャパン株式会社がクレジットカード会社のJCBに加盟店契約解除を通告され、今現在ホメオパシージャパンのショップと同社の製品を扱う販売店において、クレジットカード決済が行えない事態が発生しているようだ。
ホメオパシージャパンの言い分
突然の加盟店契約解除の理由につきまして株式会社JCBに問い合わせましたところ、弊社商品が消費者の皆様にご迷惑をおかけした、事故が起きたからということではなく、また、ホメオパシーをご存じないJCB会員に不安を与えたということでもない、とのことであり、加盟店解除の理由として伝えられましたのは、「常識から考えて、ホメオパシーは効果がある健康食品とは思えない。むしろ消費者に心配を与える可能性を感じる。日本において社会的認知がないことが問題と感じている。社会的認知があれば、ネット等に見られるようなホメオパシージャパンへの誹謗中傷は生じない。日本でも海外のようにホメオパシーに健康保険が適用されるほど社会的認知度が上がれば、その時にJCB加盟店への再加盟を検討する。ホメオパシー全体の話であり、ホメオパシージャパンに限る話ではない。海外も含め、解除可能な契約は全て解除する」というものでした。
弊社に落ち度が無かったと証明されながらも上記理由にて契約解除されたことに対し、弊社から数度に渡り意義を申し立てました。
さらに、2011年12月、株式会社JCBからホメオパシージャパン商品販売店に対して「レメディーを取り扱っているから」との理由で、ホメオパシージャパン商品以外のその他の商品販売も含めて取引を終了する(加盟店解除)との通達があった旨、販売店様から報告を受けました。
弊社は、上記経緯に対して株式会社JCBに意見書を提出致しました。
(引用元: http://www.homoeopathy.co.jp/company/hj_20120121_1.pdf 強調は引用者による。)
/ ̄ ̄\ / _ノ \ ホメオパシーは | ( ●)(●) 効果がある健康食品だとは | (__人__) 思えないだろ、 | JCB ノ | ∩ノ ⊃ } 常識的に考えて。 /ヽ / _ノ } ( ヽ / / ノ ヽ “ /_| | \__/__ / / ̄\ | JCB | ただし、ホメオパシージャパンには何の落ち度もない。 \_/ | /  ̄  ̄ \ 日本でも海外のようにホメオパシーに健康保険が / \ / \ 適用されるほど社会的認知度が上がれば、 / ⌒ ⌒ \ 再加盟を検討される権利をやろう | (__人__) | \ ` ⌒´ / ☆ /ヽ、--ー、__,-‐´ .\─/ / > ヽ▼●▼<\ ||ー、. / ヽ、 \ i |。| |/ ヽ (ニ、`ヽ. .l ヽ l |。| | r-、y `ニ ノ \ l | |ー─ |  ̄ l `~ヽ_ノ_  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ O 。 , ─ヽ ________ /,/\ヾ\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |__|__|__|_ __((´∀`\ )< というお話だったのサ |_|__|__|__ /ノへゝ/''' )ヽ \_________ ||__| | | \´-`) / 丿/ |_|_| 从.从从 | \__ ̄ ̄⊂|丿/ |__|| 从人人从. | /\__/::::::||| |_|_|///ヽヾ\ / ::::::::::::ゝ/|| ────────(~〜ヽ::::::::::::|/ = つづく =
JCBの中の人が「誹謗中傷」などという表現を安易に使うとは考えにくく*4、JCB側からの説明とされている太字で強調したカギ括弧部分が実際の説明と一致するかは疑わしい。それに、「日本でも海外のようにホメオパシーに健康保険が適用されるほど社会的認知度が上がれば、その時にJCB加盟店への再加盟を検討する。」とするとした部分が仮に事実だとすれば、それこそ再加盟の検討自体が絶望的だと判断せざるを得なくなってしまうだろう。
ついでに本筋と関係ないツッコミを入れておけば、そもそも健康食品の販売に当たって効果効能を標榜することは薬事法違反なのだから、「ホメオパシーは効果がある健康食品とは思えない」という記述は矛盾を包含している*5。レメディの販売を行なっているホメオパシージャパンは「御社の販売しているレメディという健康食品に効果はあるのですか?」と質問されたとしても、公式に「はい、効果があります。」と答えることすら本来はできないはずだ。
事実関係とそれに基づく推測
契約解除について
まず、JCBと加盟店との契約の規約は、Web上に公開されている。
第11条( 加盟店の義務、差別的取扱いの禁止等)
(中略)
3. 加盟店は、以下に定める内容の信用販売およびギフトカードの取扱いを行わないものとします。
(1)公序良俗違反の取引
(2)法律上禁止された商品等の取引
(3)特定商品取引に関する法律に違反する取引
(4)消費者契約法第4 条の規定に基づき取消しが可能である取引
(5)当社またはJCB が会員またはギフトカードの使用者の利益の保護に欠けると判断する取引
(6)会員が遵守すべき規約に違反して行おうとする取引
(7)その他当社またはJCB が不適当と判断する取引
(中略)
第32条( 契約解除)
1. 前二条の規定にかかわらず、加盟店が以下の事項に該当する場合、両社は加盟店に対し催告することなく直ちに本契約の全部もしくは一部を解除できるものとし、かつ、その場合両社およびカード会社に生じた損害を加盟店が賠償するものとします。
(1)加盟店申込書等加盟に際し両社に提出した書面および、第5 条第1 項記載の届出事項に虚偽の申請があったとき
(2)他の者の債権を買い取って、または他の者に代わって当社に債権譲渡をしたとき
(3)第11 条の規定に違反したとき
(引用元:http://www.jcb.co.jp/kiyaku/pdf/kameiten0705_02.pdf 強調は引用者による。)
以上のように、第11条に挙げられた加盟店が禁止行為を行った場合には、第32条に基づいてJCBは催告なしに契約解除が行える取り決めになっているらしい。しかし、今回のホメオパシージャパンのケースでは、
2011年9月8日、株式会社JCBより突然、加盟店契約解除の連絡を受け、12月16日より直営店店頭にてJCBカードにてお支払いいただけなくなりました。
(引用元: http://www.homoeopathy.co.jp/company/hj_20120121_1.pdf)
と、予め催告と思われる連絡が行われている模様であり、JCB側は少なくとも明示的にホメオパシージャパン側の契約違反行為によって契約を解除したわけではなさそうだ。むしろ、以下の条文に基づく「解約」がなされていると考えるのが妥当だろう*6 *7。
第31条( 解約)
1. 前条の規定にかかわらず、加盟店または両社は、書面により3ヵ月前までに相手方に対し予告することにより本契約を解約できるものとします。
(引用元:http://www.jcb.co.jp/kiyaku/pdf/kameiten0705_02.pdf)
ホメオパシージャパンの非を露骨に指摘するのではなく、穏便に(うやむやに?)契約を解消しようするJCB側の意図が伺える。
JCB以外のクレジットカードも使えない件
また、ホメオパシージャパンの説明を読む限りでは、加盟店契約解除を通告を行ったクレジットカード会社としてはJCBの名前しか挙がっていないが、現在ホメオパシージャパンのオンラインショップでは、JCB以外のカードも含めてクレジットカード決済は利用できないようだ。これは、
また、インターネットショッピングにつきましては、三連休直前の2011年12月22日夕刻、インターネットでのクレジットカード決済会社より、他のカードを含めての契約解除通告があり、クレジットカード決済が不可能となりました。
(引用元: http://www.homoeopathy.co.jp/company/hj_20120121_1.pdf)
とあることから、おそらくは、JCBの判断を受けて、JCB以外のカードも含む「インターネットでのクレジットカード決済」を担当していたJCBとは別の会社がホメオパシー・ジャパンとの契約を解除してしまったためなのだろう。
ホメオパシージャパン以外のホメオパシー関連ショップでの決済は?
ホメオパシージャパンの説明にはJCB側の談として、
ホメオパシー全体の話であり、ホメオパシージャパンに限る話ではない。海外も含め、解除可能な契約は全て解除する。
(引用元: http://www.homoeopathy.co.jp/company/hj_20120121_1.pdf)
とあるが、今のところ、イギリス製のレメディ等を販売しているニールズヤードレメディーズ*8とドイツ製のレメディ等を販売するマリエン薬局*9の日本のオンラインショップでは、JCBも含めてクレジットカード決済が可能とされている。
JCBや「インターネットでのクレジットカード決済会社」の判断は是か非か
結局のところJCBがどんな理由で加盟店契約解除に踏み切ったのかは分からないし、そもそも加盟店契約解除の事実すら当事者の一方であるホメオパシージャパンの説明以外にそれを裏付ける材料はない。だが、仮にそれが事実だとすればJCBの判断は正当なものと言えるのだろうか。
ホメオパシージャパンのビジネスが公正なものとは言えないという見解は私が繰り返し述べてきたことだ。JCBが良心や企業倫理に基づいて、そうしたビジネスから消費者を守ろうとしているのであれば、個人的にはJCBを評価したいところだ。一方で、それは私の一意見に過ぎず*10、JCBの対応によって、自分の意思でホメオパシーグッズを購入するという選択肢が消費者から奪われたことをよしとしない意見もあるのかもしれない。しかしながら、そうした意見に一定の分あるにしても、JCBが一私企業であることを考えれば、JCBの自主的判断は基本的には許容されると私は考える。
極端な話、JCBが良心や倫理とは何ら関係なく、自社のブランドイメージの保護というような純粋な利害のためにホメオパシーとの契約を打ち切ったとしても、それを理由に一私企業に過ぎないJCBが責められる筋合いがあるとも思えない*11。もちろん、JCBが一私企業に過ぎないからこそ、ホメオパシーグッズを購入するという選択肢を重視する消費者には、JCBのクレジットカードを選択しない権利がある。尤も今回に限っては、「インターネットでのクレジットカード決済会社」の判断で他社のカードも使えなくなってしまったわけだが、ホメオパシージャパン側にも、この「インターネットでのクレジットカード決済会社」と再契約することを諦め、他社との契約を試みる自由があるのも事実だ。ただし、ホメオパシーという怪しげなものを売り物にする怪しげな企業であるホメオパシージャパンが、これまた一私企業にすぎない他の「インターネットでのクレジットカード決済会社」から、契約相手としての適格性を認めてもらえるのかは私には分からない。
*1:http://nplll.com/archives/2012/01/_jcb.php
*2:http://slashdot.jp/journal/545555/JCB%E3%81%8C%E3%83%9B%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%91%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%91%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8A%A0%E7%9B%9F%E5%BA%97%E5%A5%91%E7%B4%84%E3%82%92%E8%A7%A3%E9%99%A4
*3:http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20120123#p1
*4:「誹謗中傷」に関して第三者に過ぎないJCBが、わざわざホメオパシージャパン側の「誹謗中傷」があったという立場を採用しても、JCBには何の得もないだろう。
*5:これがホメオパシージャパンの作文に近いものなのか、実際に薬事法に詳しくないJCBの担当者がうっかり言ってしまったのかは分からないが。
*6:言うまでもなく、実際のやりとりを私が知るはずもないので、これは想像に過ぎないのだが。
*7:少なくとも規約の用語法では、解約と契約解除の位置づけは異なるようだが、ホメオパシージャパンがこの通りに区別しているかは総合的に考えて怪しい。
*8:https://www.nealsyard.co.jp/onlineshopping/guide/guide03.html
*9:http://www.marienremedy.com/archives/2010/payment.html
*10:これは飽くまでJCBが契約を解除したことを是とする私の意見のことである。ホメオパシーが無効であるということは臨床試験に裏付けられた客観的事実であり、意見ではない。
*11:もちろん、合法的に行われている限りにおいて。
「出来るだけ、放射能は怖いと思えるような文章」をブログに書くだけの簡単なお仕事をしてくれる"責任感"のある方を業者が募集中
在宅ワークの求人サイト@SOHOに以下のような求人が掲載されている。
掲載日時
2012/01/12(木) 10時31分
募集期限
2012/01/13(金) (あと 1 日です)
件数
案件の参照数:12761件 案件の応募数:3件 発注者からの返信数:2件
業務の種類
ブログ記事・アフィリエイト記事作成
勤務形態
在宅
募集地域
全国
【被災地応援!】被災地の方に積極的に発注を考えている募集者様です。
募集人員数
9
未経験可否
可
報酬(予算)
2000/単位:案件毎
内容 記事の内容と致しまして、東日本大震災によっておこった放射能に関する記事になります。出来るだけ、放射能は怖いと思えるような文章でお願いします。
また、文章中に指定するリンクを張って頂きます。1記事 800文字以上
1記事あたり500円になります。
それを4記事作成をして頂きます。未経験&初心者の方でも大歓迎です
気軽に始めれるお仕事ですお仕事の内容といたしましては、
アメブロ・FC2ブログなどのブログ記事をこちらが提出したキーワードにそって執筆していただくお仕事になります。<対象>
・全国どちらの地域の方でもOK
・インターネットは高速回線であることが望ましいです。
・パソコンの基本的な操作ができる方。
・学歴、年齢問わず(子育て中の方など歓迎します)
・責任感を持ってお仕事して下さる方。
・報告連絡相談をきちんとできる方
・納期を守っていただければ、いつどこで作業をしていただこうと自由です。
・できれば、長くお付き合いいただける方。<こういう方はご遠慮ください>
・友達にメールする感覚(ビジネス感覚のな・・・・・・<<続きを見るには、メンバー登録(無料)が必要です。>>
(引用元: http://www.atsoho.com/jobinfo/detail/no-41724.html 太字の赤字による強調は引用者による。)
早い話が"お金を払うから放射能の危険を煽るようなブログ記事を書いてくれ"という卑劣極まりない依頼だ。
放射線が多かれ少なかれ危険性を有しているのは事実だし*1、その危険性を伝えるのは必要な事だ。一方で、そのような記事の中に不正確なものが含まれているのは歓迎せざる事実だが、不安を感じている人がその感情の発露としてそのような記事を書いてしまうのは*2理解できることだ。
しかしながら、この仕事によって、結論ありきの「出来るだけ、放射能は怖いと思えるような文章」が生産されることを誰が容認・擁護できるだろうか。
被災者を食い物にする仕事の依頼であるにも関わらず、「【被災地応援!】被災地の方に積極的に発注を考えている募集者様です。」などと恥ずかしげもなく表示してしまう無神経さには開いた口がふさがらない*3。「子育て中の方など歓迎します」というのが、放射能に敏感な子育て中の人が共感しやすい文章を書いてくれる人を期待しているためだ、と考えるのは邪推がすぎるだろうか。いずれにせよ、こんな反社会的な求人を出している側が、雇われる側に責任感を求めているというのは、もはや滑稽ですらある。
なお、この業者の社名は、この求人サイトに無料会員登録すれば簡単に見ることができる。ここでは社名を書くことは控えるが、この業者は水を販売する業者である。